絵でわかるプレートテクトニクス(地球進化の謎に挑む)

是永淳/講談社

「地球・生命 138億年の進化」などの書籍でプレートテクトニクスに興味を持ち、もっと詳しく知りたいと思った人には、この本をお勧めします。

著者は、現職のイェール大学地球科学科教授であり、プレートテクトニクスを語るにばりばりの本職の方です。

「絵でわかる」と銘打たれているだけあって、素人でも理解できる入門書の体裁をとっていますが、説明はかなり専門的なところまで及んでいて、プレートテクトニクスの表面だけをなぞった概説書では物足りないという人にも、痒いところに手が届く説明が十分になされています。

本書の中には、ごくまれに理論を説明するための方程式の紹介などもありますが、本文ではなくコラム的に位置付けられていますので、そこまで興味がない人はばしばし読み飛ばしましょう。

本文は、細かな説明も疎かにしないものの、「絵でわかる」ですから、ほとんど全てのページにわかりやすい挿絵や図が挿入されていて、とてもわかりやすいです。

プレートテクトニクスは、1970年代ころに脚光を浴びるようになったとても新しい理論です。

そのため、プレートテクトニクスに関する書き物は、どのような本でも、著者の新しい知見に対するワクワク感が読み手にも伝わってきます。

「ここまでわかった」「でもここからはまだわからない」という最新の分野ならではの新鮮さも感じ取ることができます。

・なぜプレートテクトニクスを起こすほど地表近くのマントルが柔らかくなっているのか

などわからないことはまだまだたくさんあります。

でも、このプレートテクトニクスのすごいことは、「真実はシンプルだ」というか、いま地球で起こっている様々な現象を、1つの、とてもシンプルな理論で説明できていることの美しさだと感じます。

地球はこうした仕組みで放熱しているのか、などと感動しつつも、

全ての惑星がプレートテクトニクスをしているわけではありません(むしろ地球以外の惑星はしていない)。

そうなると、惑星に必然的な活動というわけではないわけで、しかし実際には、プレートテクトニクスによって、地球の核をうまく冷却させることで、核(コア)のなかの対流を生じさせ、これによって地球の磁場を作り、太陽風を中心とする様々な宇宙からの有害物質から地球をバリアで守り、生命の生存を可能にしているわけです。

プレートテクトニクスは、山がどうしてできるのか、地震がどうして起きるのか、火山はなぜあるのか、こうしたことに統一的な説明をしてくれると同時に、この地球の活動によって地球が生命を生かす環境を作ってくれているものでもあります。

全ての現代人が知っておくべき科学の知識ではないかと思います。

東日本大震災によって、連日のように、プレートの沈み込みを示す図がお茶の間に届けられましたが、「このプレートは一体どこからきているの?」とか、「沈み込んだプレートはその後どこにいくの?」とか、「プレートの動きは今後も続いていくのか」というところまで解説した番組は皆無ではないかと思います(地震の説明には不要だから当然ですが)。

そういう1つ1つの「当然に生じる疑問」の答えを教えてくれる本書は、読み手の知的好奇心を大いに満足させてくれる良書だと思います。

平成29年12月 読了

静岡市清水区 弁護士 永野海