津波防災講演会が無事終了しました
(武蔵野美和さんのFacebook写真からお借りしました)
(藤井芳彦さんのFacebook写真からお借りしました)
今回の講演では,まず,東日本で数多く行われている津波訴訟の内容をみていただき,被災地で何が起こったのかを知っていただくことからはじめました。
日和幼稚園(石巻市) 比較対象として旧門脇小学校
大川小学校(石巻市) 同じ教訓を伝えるものとして閖上地区(名取市)
常磐山元自動車学校(山元町)
七十七銀行女川支店(女川町)
これらの津波被災事例から学ぶ教訓は膨大なものがあります。
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私は当初報道や判決文,各種評論などを通じてこれらの裁判例を理解していましたが,私の本業もそうであるように,何事も紙面でわかったような気持ちになるのが一番恐ろしいことです。
これらすべての現場に足を運び,幸運にもご遺族,関係者からお話が聞けた場所についてはお話をお聞きし,自分の足と,自分の目と,自分の心で感じたことだけを,率直に皆さんにお伝えしようと思いました。
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事前に危機意識がなく,準備を何もしていなかった現場が,大地震を目の前にするとどうなってしまうのか。
ハザードマップや防潮堤,防波堤などのハード面を頼りにした場合に何が起きるのか。
東日本大震災,これらの裁判例は雄弁に教えてくれます。
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そして,これらのあまりに大きすぎる犠牲を前に,われわれは何をしたらよいのでしょうか。
災害は怖いもの,津波は怖いもの,というだけの防災教育は長くは続きません。
人間の恐怖が数年で後退してしまうことは,東日本大震災から7年がたとうとする今,各地の防災の現場が証明しています。
また,津波が怖い,海が怖いでは,みな故郷を誇りに思えなくなります,地域が死んでしまいます。
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海沿いにいる人間だけが考えなければならない問題ではありません。
この日本列島に住む限り,地震,津波,噴火は全ての国民の生活のなかにあるものです。
たくさんのことを同時にやろうとせず,一番大事なことに絞って具体的に1歩踏み出して取り組むことが,それが大切だと思います。
(H30.2.27静岡新聞朝刊より)
(H30.3.6静岡新聞朝刊より)
弁護士 永野 海