温泉はいまだにわからないことが多い日本の宝です。

昔から訪れていた関西の温泉の代表有馬温泉や,平成29年11月に中央構造線博物館を訪問した際に訪れたこの大鹿村の鹿塩温泉など,内陸の濃い塩の温泉は,日本列島の下に沈み込んだ海洋プレートから染み出した海水が端緒ではないかと近年分析されています。

 

フィリピン海プレートは海を渡ってくる内に玄武岩内部に海水を大量に含みます。

それが南海トラフから地球内部にどんどん沈み込むことで高圧にさらされ中の海水が押し出されます。

その時,水分がでることでマントルの岩石を溶かす融点が下がりますが,それでもその場所がマグマを作り出すほど高温ではない状況だと,単に熱せられた熱い染み出したプレート内部にあった海水が,断層などの隙間を探して陸上に上がってくるんですね。

こうした種類の温泉は有馬型温泉とも呼ばれます。

まわりに火山もないのに,塩分濃度が高い高温の温泉が湧いていれば,有馬型温泉ではないかと疑いがでてくるわけです。

 

鹿塩温泉の下のフィリピン海プレートは地下35kmほど,有馬温泉は60kmほど?,いずれにせよマグマになる手間で海水が染み出した温泉になるという理屈です。

 

他方,たとえば静岡市葵区にある隠れた名湯であるこの平山温泉などは,全然塩っぽくはありません。

平山温泉の下のフィリピン海プレートはまだまだ全然浅いところにありそうですので海水が染み出すほど高圧にはされされないですよね。

でも,この平山温泉は竜爪山(りゅうそうざん)の麓。糸魚川静岡構造線至近の場所です。

断層の隙間から温泉が上ってきているのかどうなのか。

この温泉はどこから,どうやって?と考えるのも楽しいものです。

災害を引き起こす地球の現象は,同時に人間の生活に恵みを与えています。

温泉は楽しみたいけど,地震・津波・噴火は嫌だ,というわけにはいかないのです。

温泉は,防災の意識を高めてくれる場所でもあります。

 

平成29年11月 訪問

静岡市清水区 弁護士 永野 海