南海トラフ地震で町の居住区域のほぼ全域が津波で浸水することが予想される徳島県美波町由岐地区を視察で訪問しました。日弁連の災害復興支援委員会の全国協議会のプログラムによるものです。

 

津波の影響開始時間の予測は約12分。かつて全校生徒450人の小学校が現在は29名にまで減少しています。

どの地方でも生じている少子高齢化、若者の人口流出の問題への対策と、津波防災による若い世代が安心して町に残り生活できる環境基盤を並行して実施する必要に迫られています。

それが事前防災まちづくりです。

 

若い世代に残ってもらうための必死の取り組みが実施されています。前述のとおり事前復興まちづくりと名付けられ、地区の数少ない高台に若い世代に住んでもらうための新興住宅地区(15世帯を想定)の絵を描き、建築家のコンペも実施。

 

ただし、高台は(海抜20m程度)高台で山間部のため土砂災害が予想され、家を建てるとなると今度はそちらの建築規制がかかる可能性が高く、また背後の山は国定公園に指定されているため土砂災害対策の工事も容易ではないという、かなり難しい状況にあるようです。

 

 

行政と町民、防災関係者(テレビには堀井先生も!)が町の地図を囲みながら、1から丁寧に街づくりの議論をしている姿が印象的でした。

 

静かな、とても美しい港町ですが、全国等しくそうであるように、著しい人口減少、高齢化、財源不足のなかで、情報だけは膨大に入っていくこのIT時代。東日本大震災以降、南海トラフ地震の想定もどんどんハードになり、心に体がついていかない防災状況というのかなんというのか、視察の最後、4年かけて地区に整備された30mの一時避難施設のでお話してくださった地元の方のお話を聞いていても、故郷をいつまでも残したいという強い思いと、一方で直視せざるを得ない現実の重みを強く感じました。

 

10年後、20年後、30年後、静岡を含めた南海トラフ沿いのたくさんの港町はどういう姿になっているでしょうか。

 

ただでさえ人口が毎年減少していく地方の対策は難しいのに、津波対策もセットで解決していかなけばいけない難問。地方の問題というよりは、この国の形をどうしていくのかという問題のように感じました。

平成30年2月訪問

静岡市清水区 弁護士 永野 海