ここは静岡県伊東市にある城ヶ崎海岸です。

上の写真、よくある海岸とは少し違っていますね。蜂の巣のように小さな岩が集合しているようにみえます。

福井県の東尋坊にせよ、この城ヶ崎海岸にせよ、単なる迫力ある風景の景勝地としてだけ楽しむのはもったいないです。これが何なのかという背景知識をもって、この景色を時間の流れのなかでみてみましょう。

 

(伊豆フルさんHPから写真引用)

伊東市といえば大室山。

毎年初夏に山焼きされスコリア丘の形がよくわかる、スコリア丘のお手本。

 

 

(城ヶ崎海岸方面からの伊豆急行と大室山)

スコリア丘(きゅう)というのは、噴火によって吹き上げられたスコリア(軽石に近いですが、玄武岩や安山岩の中にガスの気泡でたくさんの穴が開いた黒っぽいマグマが冷えた岩の塊)が下からどんどん積み上がってできた丘(山)。

 

イメージとしては、上から大量の軽石を落としたら崩れながらもどんどん積み重なって円錐状の山になると思います。スコリア丘はそうした現象によってできた山です。

物理というのは面白くて、このときに自然にできる崖錐斜面の角度って世界中どこもだいたい同じになります。約30度。

30度を超えるところに落ちてきたスコリア(軽石)は,下に転がってしまって,結局は30度の傾斜で山ができていくという。

家で、粒の大きな砂糖をばらばらと落として山をつくってみてください。

ミニ大室山ができると思います。

 

 

(大室山の山頂からみる火口と遠方の富士山)

こうしたスコリア丘ができる噴火はだいたい1回きりのもので、そうした火山を単成火山といいます。

 

大室山からの伊豆高原の街並みや相模湾の景色は驚くほどきれいです。

 

スコリア丘を構成するスコリア(軽石)は,穴がたくさん空いているので密度が小さい(軽い)です。

軽いので,通常の火山のように,マグマが流れだす際に,噴火口から山の斜面をこぼれるように・・・ということは基本なく,軽いスコリアの斜面を溶岩が突き破るようにして流れ出します。

 

4000年前の大室山の噴火の際に,スコリアの斜面を突き破って東側に流れ出した溶岩の先端が城ヶ崎海岸のこの断崖です。

4000年前って結構最近ですよね。

(ちなみに富士山も分類としては「若い」火山と位置付けられるわけですが,それでもその噴火史は10万年単位です。

 

 

最初の写真でもみてもらいましたが,ハチの巣みたいに,円柱がいくつもつながっているように見えますね。

これがかの有名な?柱状節理。

こうして柱状節理の水平方向の断面を上からみられて,しかも歩けるような場所はとても珍しいんです。

 

柱状節理というのは,溶岩が地上に流れてきたときに,地上で冷やされて収縮してこういう柱のような形になったものです。

福井の東尋坊でもそうですが,普通は横からみることが多いです。

 

この城ヶ崎海岸の断崖も横からみれば,そんな感じで,大きな柱がいくつも並んでいるようにみえます。

ラムネ色の海がきれいです。

 

アスパラガスの束を切った断面みたいです。

 

ここで溶岩の流れがとまったわけです。

 

溶岩が冷やされ収縮してこうした節理ができるとき,玄武岩溶岩などの場合には,きれいな六角形(六角柱)になることがあります。

これは六角形がもっとも外からの応力に強い形状であるため,物理の法則にしたがい,自然がこの形を選んでいくんですね。

 

ハート型???

大室山からのこの溶岩は,かなり玄武岩に近い安山岩のようですので,だからなのか六角形にはなっていません。

マグマが噴火によって地上に噴出し冷えてかたまる火山岩は,その岩石が含む二酸化ケイ素の含有量が多くなるにしたがい,玄武岩,安山岩,デイサイト,流紋岩と変化します。

そしてこの順番に粘性が高くなり,流れにくくなります。

玄武岩はさらさら,流紋岩はどろどろ,と。

富士山などは玄武岩溶岩を噴出し,記憶に新しい雲仙普賢岳や洞爺湖の昭和新山など,溶岩ドームを作るような火山は,固まりやすいデイサイトです。

 

ここの柱状節理は段差ができているので,こんな風に遊ぶこともできます。

 

 

こんなことも。

 

 

こうしてみると,大室山の溶岩が作りだした土地ってかなりの面積ですよね。

伊豆高原の別荘地,住宅地の外構には,ふんだんに溶岩が活用されていました。

 

 

大室山から城ヶ崎海岸にかけての一帯は,まさにお手本のようなジオパークで,ほんの少しの下調べで,「単なる景勝地」から,「4000年前の地球のドラマ」を感じられる場所に一変します。

 

 

さきほどの大淀・小淀という柱状節理の断面を歩けるすごいスポットも,このように家族で楽しめる吊り橋だってありますので,ぜひ地球ドラマを身体いっぱいに感じ,その両面である,噴火災害についても少し考えてみてください。

 

平成30年2月訪問

静岡市清水区 弁護士 永野 海