阪神・淡路大震災の災害痕跡(神戸市)
JR三ノ宮駅から徒歩すぐの東遊園地。
遊園地=公園、のことです。
1995年1月17日午前5時46分に発生した、マグニチュード7.3の直下型地震。
阪神・淡路大震災です。
この大震災は、都市部で起こったことや、当時、いまほど震災遺構の保存という取り組みが活発でなかったこともあり、たくさんの震災痕跡が残されているわけではありません。
この東遊園地からメリケンパークにかけては、数少ない震災痕跡を辿れる貴重なエリアです。
地震で倒れたマリーナ像の時計は5時46分で止まったままです。
その瞬間、高校生の私は、大阪府内の早朝の駅にいました。
大阪ですら、戦争が起こったかと思ったほどの揺れでした。
地震によって60cm沈下して高さにずれが生じたトレリス(植物を絡ませる格子状のスクリーン)がそのまま保存されています。
よくみると。
この部分がずれたんですね。
高さに差が生じています。
この花崗岩の壁も震災でずれてしまっています。
東遊園地は、震災犠牲者に祈りを捧げる場でもあります。
全国47都道府県から届けられた種火を元にした希望の灯り。
この2000年1月17日に作られた慰霊と復興のモニュメントの地下には、犠牲者の名前が刻まれたプレートがあります。
地下はこのようになっています。
ぜひ震災を忘れないよう訪れてください。
東遊園地から海沿いに歩いてみましょう。
この浜手バイパスも震災で大きく損傷しました。
浜手バイパスの損傷したRCの橋脚です。
無残な姿のまま保存されています。
鉄筋も曲がっています。
当時と復旧後。
道路と道路をつなげる伸縮装置は、横ずれにより接続部分の金属がこれだけ曲がってしまいました。
自然の力の大きさを感じます。
当時と復旧後。
橋脚の上部と橋台をつなぐ支承(ししょう)も割れました。
このとおり。
当時と復旧後。
国道2号線をメリケンパークに向かって西進しましょう。
途中、旧三井物産神戸支店のビルがみえてきます。
震災により取り壊されましたが、新しい躯体の周りに外壁部分だけ保存されています。
メリケンパークに到着です。
ここには、神戸港震災メモリアルパークがあります。
震災で被災したメリケン波止場(あの曲の歌詞で有名ですね)の岸壁がそのまま保存されています。
訪れた日は、土曜日、たくさんの外国人観光客が写真を撮っていました。
当時のメリケンパークの状況。
当時の写真が掲示されています。
三ノ宮駅からこのメリケンパークまで、ゆっくり歩いても30分程度。
観光ついででも、買い物ついででも、なんでもよいので、ぜひ一度震災遺構に触れながらあの日の神戸の町を思い出すきっかけにしてください。
平成31年1月
弁護士 永野 海