仕事の中で議論ができることの贅沢さについて
一昨日、比較的世代が近い某司法書士さん、某税理士さんとの食事会がありました。
今後仕事をしていく上での重要な士業連携体制を構築したい、というのがこの食事会の目的の1つでした。
弁護士は基本的に個人事業主です。もちろん、契約上は給与所得者である弁護士もたくさんいますが、税務的な問題ではなく、仕事をする上で一人一人が個人事業主として、あるいは専門家として責任をもって仕事に対応し、完結させていかなければならない立場にある、という意味です。
実際、大多数の事件は、基本的に自分一人で考え、日々の仕事を行っています。
そんな日々の業務を行っていると、折々に、議論することの重要性と議論できることがどれだけ貴重なことか、ということを痛感します。
学生時代などは、グループワークなどで当たり前のようにチームで議論をして、何かを作り上げるという機会がありました(私などは、当時はむしろあらゆる意味で未熟だったために、作品として絶対こっちの方がすばらしいのに、チームの他のメンバーに配慮すると作品の完成度が下がってしまう、などという思いでグループワークをとらえてしまっていたことの方が多かったですが(笑))。
しかし、弁護士になるとそういう機会は激減します。なかなか対応チームを組織して議論をしながら事件処理を進めるというだけの時間や人的資源が確保できないんですね。弁護団会議などは極めて例外的な位置づけになります。
そんななかでも、うちの事務所のように若い弁護士が複数いる事務所だと、毎日事務所で過ごすなかで、「これって、どうだっけ?」とか、「いまこんな事件があるんだけど、こういう方向性でいいよね?」などと立ち話程度でやりとりができ、これだけでも一人で全て事件処理をしなければならない場合と比べると、比べられないほどの効用があります。精神的にも、実際のリスクヘッジの上でも。しかも、うちの場合には、どんなに軽い感じの質問でも、常にその場で文献を再確認してくれる貴重な弁護士もいますので^^
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そして、冒頭の他士業の先生方との連携、懇親の話に戻ります。
チームとして1つの事件に対応する。ただ、人数が複数いて役割分担というだけでなく、本当に定期的にミーティングを開いて今後のベストの方針を議論しながら事件にあたる、というのは、依頼者にとって極めて利益が高いだけでなく、仕事をする上でも非常に刺激的で、魅力にあふれた時間です。
弁護士としての年数も徐々に重ねてきて、仕事をする上での新たな刺激を求める年齢に入ってきていると思います。
同世代の他士業の先生方とチームを組んで、ただ各士業の専門性というだけでなく、優秀な先生方と、「知」を持ち寄り、難しい案件に膝をつきあわせて議論し、チームでなければ解決できなかったという結果を実現していく。
今後は、こういう仕事を1つ1つ増やしていきたいと強く思っています。
静岡市清水区 中央法律事務所
弁護士 永野 海