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大井川の伏流水と共にある養鰻池(吉田町)

これが何のビニールハウスかわかりますか?

実は鰻を養殖する養鰻池のハウスです。

今回、静岡県吉田町で、養魚場を営まれる武田高明さんのご協力の下、吉田町の養鰻池をみせていただきました。

吉田町の養鰻池は、大井川の伏流水の恵みにより成り立っています。

大井川に限らず、川は、目に見える部分の流れ(表流水)だけではなく、その地下に、目に見えない潤沢な伏流水を抱いていることを、養鰻池の存在を通じて知っていただきたいと思います。

最初に、少し、座学を。

吉田町に残った養鰻業を営む方はもう7軒。

昔は400もの養鰻池がありました。

この辺りは2mも掘れば大井川の伏流水(地下水)にぶつかります。

伏流水とは、河川を流れる流水が、河床の砂礫層などの下に浸透し、河川や河川の周囲の地下浅いところを流れているものをいいます。

ある研究によれば、大井川の扇状地を流れる地下水量は、 1日当り50万立法メートルから80万立法メートル
(5.8m3/s~9.3m3s) にも及ぶのではないかと推定されています。

(養鰻池に流し込まれる大井川の伏流水(地下水))

ここでは、その大井川の伏流水(地下水)を、毎日1時間から2時間、養鰻池に投入します。

水温37度以上で死んでしまう鰻のため、池の水温を下げる目的もあります。

きれいな地下水を毎日入れている吉田町の養鰻池の水は非常にきれいで、匂いもありません。

他方で、地下水を使わない三河あたりの養鰻池は、池の色はコーヒー色で、アンモニアの濃度も高いとのこと(←だから悪いということではありません)。

(手前のかごは鰻の餌を入れるために使う)

吉田町の場合、基本的に、稚魚(シラスウナギ)も静岡の河川の河口付近から採取しています。

鰻を育てる際、温度一定の冷たい地下水がいいのかと思いきや、むしろ養殖だと水温が低すぎても病気になってしまうとのこと。

水温が高すぎると、伏流水を入れて冷やし、水温が低すぎるとボイラーの熱で温度を上げます。

(水を抜いた養鰻池だと内部の様子がよくわかる)

常に水温を管理しなければならず、長期旅行はしたこともない、とのお話でした(農業やってる人はみんな同じですよ、とも)。

(養鰻池を泳ぐ鰻の成魚)

最初に仕入れた稚魚を1000倍の重さに育てた上で、最終的には、250gほどの成魚として出荷します。

多くは東京に出回ることになりますが、吉田町の一部のお店では吉田町産の鰻を食することも可能です。

(この100坪ほどの池の中には1万5000匹もの鰻が泳いでいる)

 

(見えにくいが2mほど下に地下水の水面がみえる)

吉田町は、鰻にせよ、工業用水にせよ、大いなる大井川の地下を流れる大量の伏流水の恵みに支えられた町です。

新幹線からみた川の流れは乏しくとも、その下を壮大な水量が覆っていることを想像してみてください。

武田さん、貴重な機会を本当にありがとうございました。

令和元年9月

弁護士 永野 海

(付録)

脂ののった鰻にするために欠かせない魚油(餌に混ぜます)

水温を調整するためのボイラー装置

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