京都松ヶ崎丘陵のチャート
京都府を上空からみると一直線の山のラインがたくさんあります。
これらは全て断層です。
直線的な地形(リニアメント)は、断層を推察させる貴重な情報です。
しかし今日は断層ではなく、この京都市左京区の松ヶ崎丘陵にフォーカスします。
松ヶ崎丘陵を北側の京都国際会館のほうから望みます。
これは丘陵の北西側から。
周辺には宝ヶ池があり、気持ちのよい散策ができる貴重な場所ですが。
この丘陵には、こんな石ころがたくさん落ちています。
この石はなんでしょう?
丘陵のハイキング道にも、姿を現しているこの石は、チャートです。
この丘陵全体を形作るチャートの岩塊は、2億年以上前に、太平洋のはるか南の海で、放散虫の殻などが海底に堆積してできたものです。
そのチャートの塊は、太平洋のプレートに載ったままユーラシア大陸の東の端に付加体としてくっつき、その後日本海の誕生、拡大とともに、ユーラシア大陸から引き離されて、1500万年ほど前に日本列島のこの場所に落ちつたものと思われます。
その後この付近の京都の山々がプレートに押されて隆起をはじめたのは、45万年ほど前からではないかと考察されています。
隆起したのはこの松ヶ崎丘陵だけではありませんが、周囲の砂岩や泥岩による地層はこの数十万年間に侵食され姿を消し、このカッターナイフでも簡単には傷がつかないほど硬いチャートの岩盤でできた松ヶ崎の丘陵部だけがいまに残っているものと考えられています。
京都市内の喧騒に疲れたら、都市のすぐ近くにあるこの2億年以上前のチャートが作る地形を楽しむハイキングをしていただき、2億年のプレートの移動と、この数十万年の京都の隆起と侵食の時間を感じてもらえればと思います。
令和2年2月
弁護士 永野 海