熊本水害情報支援②「自宅の土砂・がれきの撤去 今後の見通しは?」
(★はじめに)
今回の水害で、自宅の中や敷地内の土砂・がれきの撤去に頭が真っ白になっている人
が多いかと思います。
コロナ下では、今後泥出しのボランティアさんが十分に集まらない不安もあります。
まず、自宅の土砂・がれきを撤去する災害の法律・制度はいくつもあります。
①災害救助法(障害物の除去・ただし使うと仮設住宅に入れない危険)
②堆積土砂排除事業(純粋な土砂のとき・国交省)
③災害廃棄物処理事業(がれき混じりの土砂のとき・環境省)など。
しかし、この制度のどれを使うかは、国と自治体が考えることで、
難しい知識は被災された方には全く不要です。
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(★具体的にどうなるか 過去の例)
早ければ1週間程度、遅ければ少し先になりますが、今回のような大きな災害では、
自治体から、「土砂撤去に関する指針」が発表されるのが通常です。
無償で、自治体が、宅地の土砂・がれきの撤去をしてくれますが、制限、限定もあり得ます。
過去の例をみてみましょう。
●西日本豪雨の広島市(画像①)
5日後に、市から、氾濫などで流木が岩石が混じった土砂が堆積した地区については、
民有地内でも市が撤去すると宣言しています。
宅地と農地が渾然一体の場合には農地の土砂も撤去するとしています。
●令和元年台風19号の丸森町(画像②)
約1か月後の宣言です。同じく流木や岩石が混じった土砂が堆積した宅地について、
撤去困難なら、町が代わりに撤去する。
ただし、家屋内や床下の土砂は対象外としています。
こうなるとボランティアさんに頼らざるをえません。
●西日本豪雨の呉市(画像③)
2ヶ月後の案内です(もっと先に第1報はあるかもしれません)。
宅地内に堆積した土砂混じりがれきについて、人力で撤去困難なら市が
撤去すると説明しています。
ただし機械で撤去できる範囲しかできないよ、という内容です。
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(★待ってられないよ 費用償還について)
このように、自治体による土砂がれき撤去の案内の時期や内容には、
自治体ごと、被害の程度ごとにかなり差があります。
その場合、待てずに、「自費で土砂がれきを撤去してしまった」場合でも、
あとから費用を償還(自治体が精算)してくれる場合もあります。
それに備え、撤去前と撤去後のたくさんの写真や動画を残しておきましょう。
また、撤去費用の領収書や、撤去工事の費用の明細もなるべく詳しいものを
業者からもらっておきましょう。
ただし、撤去費用の全てを自治体が払ってくれるとは限りません。
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なお、その際、過去の例では、知人や友人、ボランティアに除去してもらった
日当やお礼、重機を購入した費用などは償還してもらえない例がありました。
他方、重機を借りて自分で撤去した場合の、重機のレンタル料は支払ってもらえた例があります。
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(★自宅が壊滅的被害で土砂撤去どころじゃないよ)
今後、半壊以上の罹災証明の認定を受けた自宅や一定の条件をみたす事務所などについては、
「公費解体」といって、地上より上の建物部分を、無償で解体、撤去してくれる制度
(環境省の災害廃棄物処理事業)が適用される可能性もあります。
*台風19号では静岡だけ外されました!!!!!!!
制度が適用される場合でも、発表までは時間がかかります。
今後のニュースをチェックしてください。
参考資料:国土交通省「宅地内からの土砂・がれき撤去の事例ガイド」