関市での豪雨災害後の生活再建相談会に参加しました
岐阜県関市
死者1名
全壊流出13
大規模半壊36
半壊174
特定の集落に被害が集中したことが特徴です。
(上流から下流方向に河川敷の木々がなぎ倒されている津保川)
今回の生活再建相談会について
静岡の近接県での被害。
地元での法律支援の話があまり聞こえてこなかったためずっと気になっていたところ、早くから関市の支援に入られていたレスキューストックヤードさんがワンストップの生活再建相談会を開催されることになり、
いずれも被害が大きかった地区でそれぞれ2時間から2時間半程度の相談会でした。
気温40℃、体感温度はそれ以上の酷暑の中、3会場合計70名ほどの方がいらして下さいました。
ワンストップ相談会の意義
被災後の相談会は、法律家(というか私は災害時の支援制度やお金関係のアドバイザーという感じですが)と建築の専門家とのコラボレーション、そして、法律家とボランティアのプロのコラボレーションなどがとても貴重になります。
家が被災したどうやって修理するのか、立て直すのか、となったときには、建築の専門家の助言が不可欠ですし、それに際しての支援制度の情報を得ることも大切になってくるからです。
また、今回も実際にありましたが、相談を受けているなかで、じゃあ床下の泥をどうするんだとなれば、すぐその場にいるボランティアのプロにも入ってもらい的確なアドバイスをその場で受けられるわけです。
自治体の職員さんが同じ会場にいる重要性
いくら私が抽象的に支援制度の説明をしても、それを実際に利用するところまで至らなければ全く意味がありません。
今回の相談会では、関市の支援金を担当する職員さんもいましたし、応急修理制度(災害救助法)を担当する職員さんもいました。
だから、その場で市としての最新の正しい回答を得ることができますし、そのまま申請や相談だってできてしまうのです。
皆さんのご努力によってすばらしい相談の場となっていました。
関市の被災者支援対応のすばらしさ
まず、
「市としてできることは何でもやってあげたい」
という関市、市の職員の皆さんの強固な意思を感じました。
被害地域が限定されていたからこそできたという側面ももちろんあると思いますが、私がたまたま耳にした関市の対応について箇条書きで書いてみます。
・罹災証明は被災世帯一件一件に職員が回って交付
・認定に不満がありそうな場合は戸別訪問時に聞き取り再調査(全て終了済)
・被災直後から市が相談会を実施(相談会が市への苦情の場になることを覚悟しつつ恐れない)
・それでも被災者への支援が不足する、市だけでは硬い一方的な説明会になってしまうと市自らが認識し、今回の災害NPO、法律、建物の専門家と行政が連携した生活再建相談会も実施 *ワンストップ相談会で、その場で支援金の申請や、応急修理の相談もできるような市の体制
・市税関係の減免は、被災者の申請なくても市が全て自動的に実施
・ボランティアの支援体制は発災直後から整い、泥出しなどは早い段階で終了している
・その際、職員が戸別訪問し、既に床下の泥をだしたか個別に被災者に確認、未了ならその場で社協につなぐ徹底ぶり
・応急修理制度の利用も極めて柔軟に。自治体に連絡する前に修理に取り掛かってしまっている事案にも柔軟に対処するのはもちろん、代金支払済の案件でも真摯に被災者の声に耳を傾ける姿 *応急修理制度の制度的問題点(現物主義の問題、その周知の難しさ、一刻も早く水害は修理をしないといけないのに現物修理では・・・という問題意識)を市がしっかり認識
・住家被害認定でも、なるべく多く救ってあげようと、エリア一括認定をうまく活用し、多くを少なくとも「半壊」で認定してあげられるよう工夫
・半壊世帯に50万円、床上浸水に30万円(単身世帯は4分の3)という自治体独自の支援金も8月4日の段階で決定&申請受付開始
・支援制度について極めてわかりやすいリーフレットを作成し被災全戸に配布 (http://www.city.seki.lg.jp/cmsfiles/contents/…/12733/999.pdf)
http://rsy-nagoya.com/rsy/blog/2018/08/9-7.html
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なお、当日の相談会の様子や、関市によるさらに具体的な対応内容については、上記のレスキューストックヤードさんのウェブサイトに詳しくまとめられていますのでこちらをご覧ください。
わたしは今週末も関市に入り、別会場での相談会に参加させていただきます。
関市の皆様がこうした相談会に参加され、少しでも心がほぐれ、少しでも希望につながり、現実の生活再建につながることを心より願っています。
平成30年8月訪問
弁護士 永野 海