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静岡市社協さんのボランティア本部運営合同訓練に参加しました

(写真は吉田富美さんご提供)

災害ボランティアコーディネーター静岡の吉田富美さんにお声がけいただき、静岡市社協さんの災害ボランティア本部運営合同訓練に参加させてもらいました。

ボランティアセンターの立ち上げ訓練に実際に参加させていただいたのははじめてで、見るものやること全てが新鮮でした。

 

また、この訓練では、静岡大学防災総合センターの講師で静岡県環境防災福祉研究所所長の笠原英男先生が全面的に訓練の計画、指導に関わられている関係だと思いますが、訓練の内容が極めて具体的で、実際のボランティア受付にとどまらず、被災者のニーズ把握、分析、ニーズに対する対応・手配などについてもつっこんだ訓練がなされていて大変驚きました。

ちなみに最初、私は、ボランティアの受付票を別のカードに転記する作業や、その際、この被災者が求めている作業に対して、具体的には、この内容での家屋の掃除や土砂だしにどんな資機材が必要か、見積もりをするという訓練を経験したのですが、はじめてやろうとしてみるといかに自分が何も知らないか、土砂をだすという被災地のボランティアを経験していないかを痛感しました。

このぐらいの作業に何人スタッフが必要で、どれぐらいの時間を見込むべきものなのか、軍手は何枚必要か、ゴム手袋はいるのか、手押しの一輪車はいくつ?、土嚢袋はどれぐらい?、ほうき以外にデッキブラシは?、水がでない状況と書いてあるけどどうやって掃除???

いやあ、本当に面白いです。これぞ訓練ですね。何も知らないことを知る、という。

他方、現在の私の立ち位置では、私が社会のためになすべきことは、いかに被災者の方が抱えている不安の解消や復旧・生活再建の上で支障となる経済状況や法的支障に対して、問題解決のお手伝いができるか、ということです。

災害時のQ&A集である弁護士会ニュースや昨年作った被災者支援チェックリストそのものをそこに書かれてある情報を、ボランティアさんの力をお借りして、現場に届けるという連携が1つの大きな話になりますが、

それだけでなく、ボランティアセンターの運営の骨組み自体に、被災者の情報提供ニーズや法的な困りごとの解決ニーズに対して対応する仕組みを組み込めないか、そのことを考えていました。

そのため、この運営の仕組みをみさせてもらいながら、現在のボランティア本部の仕組みとして予定されている被災者のニーズ把握、ニーズ分析のどこかに、弁護士の情報提供支援、法律相談支援が入るところがないか、現実的にそれが可能か、という視点でもみさせてもらっていました。

ポイントは3つです。

1つめは、どのようにして被災者の法的ニーズを把握するか(拾い上げるか)

2つめは、拾い上げた法的ニーズを本部と士業がどのように連携し共有するか

3つめは、士業に届いた法的にニーズに対し、被災者にどのようにフィードバックするか

いずれも言うは易し行うは難し。

被災者のニーズ受付から福祉支援のニーズ(たとえば高齢者、認知症、障害者、精神的不安など)を拾い上げる仕組みは既に訓練に組み込まれています。

これをどう法的ニーズの拾い上げに応用できるか、ですが、できないことをできると風呂敷を広げてしまうことはできませんので、そのあたりも難しいところです。

 

しつこいようですが、私が現在一番必要だと思っているのは、被災者の方を直接士業が支援するだけでなく、社協、災害NPO、ボランティア組織・団体を士業が支援する仕組み作りです。

これが、現実的な士業のマンパワーのなかで、効果的に裾野まで支援を広げられるあり方だと思うからです。

亀田製菓さんの許可をもらわず、ハッピーターン連携と勝手に(心の中で)名付けていますが、たとえばボランティアセンターの一角に、お茶飲みスペース的な空間を設け、そこに頻繁に士業が立ち寄り、その場その場でどんどんアドバイスをしていき、それを現場にフィードバックしてもらう、というあり方です。

 

このお話を、前述の笠原先生にさせていただいたところ、上記の静岡市のボランティアセンターの図面を示していただきながら、この場所にそういう場所を設置すればよい、との助言までいただきました。

これで、明日、南海トラフ地震がきても、静岡市のボランティアセンターではなんとか実現できそうですね(^^)

最高です。

このあたりは、今後県社協さんとも協議していかなければなりません。

来年度以降そういう方向性の協議をすることについては、県弁護士会の災害委員会で了解してもらえましたので、来年度、がんばって動いていきたいと思います。

さて、ありがたいことに笠原先生のご厚意で、午前中の訓練の最後、参加されている皆さんに被災者支援チェックリストの配布と活用のお願いの説明をさせていただく時間をいただきました。

この日は、被災者支援チェックリストをすでに活用いただいているというお話などもお聞きし、とてもうれしくなりました。

近く、静岡県弁護士会のロゴに変えたものも作成する予定ですので、一層県内の普及に努めたいと思います。

今回の訓練参加は、今後の士業とボランティアとの連携を進める上でこれ以上ない非常に有益な機会となりました。お声がけいただいた吉田富美さん、本当にありがとうございました!

 

静岡市清水区 弁護士 永野 海

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