全国的にもかなり貴重な,横臥褶曲を含んだ大規模な地層の褶曲の露頭を島田市で観察することができます。

 

場所は、静岡県島田市の北部。

大井川鐵道の神尾駅から徒歩でいけます。神尾駅には車を停めるスペースはありますが、コンビニも自動販売機もありませんのでご注意を(改札もない無人駅です)。

駅から神尾褶曲までの距離は1km〜1.5kmぐらいでしょうか。

 

神尾駅は平成15年夏の集中豪雨で大規模な土砂崩れの被害に遭いました。

 

幸い人的被害は免れましたが、駅の名物であった36体の信楽焼のタヌキの大半が土砂に流され、大井川鐵道も復旧は翌年春までかかりました。

さて、褶曲までの道は、駅から迷うことはないとは思いますが、念のため以下の地図を参考にされるとよいでしょう。

 

駅からは北に歩き、神尾褶曲の看板を目印に、2つほど竹林をぬけます。

1つめの看板と竹林。

2つめの看板と竹林。

竹林を抜けると大井川の河原にでますが、川には近づかず、左(大井川の右岸)の竹林沿いを上流方面に歩きます。

大井川が西に90度折れていますので、それに沿って歩きます。

写真左側にみえる川の流れの衝撃を緩和するため?、あるいは導流のため?のコンクリートブロックが目印です。

もうすぐそこ。この奥が褶曲断層です。

 

これが最初に目に飛び込んでくる光景だと思います。

もはやきれぎれで地層の方向性もよくわからなくなってしまっていますね。

しかし、右側などでも、横臥の布団をたたんだようなミルフィーユの二十重ねはわかりますよね。くの字になっています。

 

 

なかなかの規模です。

 

 

地層というのは,基本,海のなかで生じるということはご存知ですか?(地学の受験みたいな話ですが・・・)

 

よく,こうした地層の場所にある看板説明の中で,昔,この場所は海でした,みたいな説明がありますが,

 

ここの地層などは,できたのは,白亜紀の話なので1億年前の前後という時期の話です。

 

そうなると,日本列島はまだアジア大陸の東の端にくっついていた時期です。

そこまで読者が想像できているわけはないので,解説,説明としては不十分ではないかと・・・・

 

日本が大陸の一部だった,そして大陸の東端の海(太平洋)に接する時期の話だったとすると,大陸の河川から流れてくる,砂や泥がどんどん海底にたまって地層として積み重なっていた,その当時の姿ということになります。

 

本当にミルフィーユ状ですね。川から流れてくる岩の破片は,れき>砂>泥,の順番で直径が小さくなると定義されています(種類分けされています)。

ここは,大陸時代の,海の底で,砂が固まってできた砂岩と,より粒の小さい泥が固まってできた泥岩が,交互に層になって地層ができた互層の地層だと思います。

 

逆さ富士ならぬ,逆さ褶曲。

面白いですねえ。

 

重なりあった地層が,海底での地滑りや,プレートの沈み込みなどで生じる両サイドからの圧力で,うにゅっと隆起するのが褶曲(しゅうきょく)ですが(簡単に実験できますね,この手は),それだけでは,横臥褶曲(おうがしゅうきょく)とはいいません。

 

そうなるためには,一度,うにゅっと隆起した地層が,さらに布団をたたむように横倒しになる必要があります。

この写真だと,逆くの字の形、布団を折りたたむときのようになっていますね。

そうなると,本来,地層というのは,下から上に新しくなっていくものですが,本来,上にあった新しい地層が,折りたたまれて,今度は下になってしまって,地層の新しい,古いが逆になってしまうんですね。

 

この部分などは,くの字に横臥になっていますね。

 

このあたりだと,もはや,カオスです。

右側のあたりはくの字に横臥褶曲し,左側のあたりは,逆くの字に褶曲しています。

 

この地層がどうしてこのように横臥褶曲したのかは,よくわかりませんでした(誰か教えてください)。

静岡地学ガイドでも言及されていませんでした。

 

しかし,このあたりの地層図をみればわかるように,明らかに伊豆半島が日本列島に衝突する流れ,つまり,フィリピン海プレートが日本列島を構成するユーラシアプレートに衝突したときの斜めの圧力を感じる場所です。

南アルプスはそもそもそういう圧力による隆起によるものでしょう。

 

そうなると,伊豆半島の衝突の一連の流れで,うにゅっとミルフィーユが折りたたまれたのか。

 

しかし,本来固い地層がうにゅっと曲がったりすることはそんなに簡単なものでもありません。固くなってしまったあとは,曲がる圧力を強く受けすぎると,柔軟性が足りずに割れてしまいますから。

そのため,褶曲というのは,基本,地層になっていっているものの,完全に固定化する前の柔らかさをもった状態のときに圧力を受けて・・・ということになりそうなものですが,

 

白亜紀の1億年前後も前の時代の地層が,フィリピン海プレートの衝突という,地球科学的には,わりと最近の事象によって,ぐにゅっと折り曲がるということが物理学的にあるものなんでしょうか。

いつどの時代に,どういった原因で褶曲したのか,ぜひ知りたいですね。

ちなみに,この写真の部分,この大井川右岸沿いの200~300mにも及ぶであろう褶曲(一部,横臥褶曲)の先端です。

 

 

ここまで辿り着くには,大井川の水量や,水に濡れてもよいという若干の覚悟も影響しますが,溶岩の流出の先端にせよ,こうした露頭の先端にせよ,先端というものはドラマティックです。

先端部分は,かなり1枚1枚の層の厚さが大きかったです。写真に加えた,私のスマホがこの層の大きさを示していると思います。

地層の全体をご覧になりたい場合には、大井川の水量が少ない季節や天候のタイミングを狙う必要があります。

 

これなど,私が地層を撮影していた様子をおさめたものですが,スケールの大きさが少しわかりやすくなりますよね。

この,一見すると単なるちょっときれいな崖,である対象も,実は,普通に生きていればなかなか遭遇できない,地球が1億年生きてきた証拠の形なんですね。

あるいは日本列島が実はどういうドラマティックな動きのなかで,いまの場所で,いまの姿で存在しているか,という証拠でもあります。

静岡の人でさえ,この島田市の神尾駅から徒歩すぐのところにこうしたダイナミックな地球科学の題材が存在しているとは知らないのではないかと思います。

とても残念です。

こうした日本列島の動きを教えてくれる痕跡をたどりながら,その結果でもある自然災害に目を向けてもらえればと願わずにはいられません。

 

平成30年1月訪問

静岡市清水区 弁護士 永野海