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JR三島駅前 そこは溶岩流の終着駅

JR三島駅南口、そこは富士山を始発駅とする溶岩の終着駅でもあります。

(ちなみにこれはJRらしく”地上”の終着駅で、地下鉄の溶岩終着駅は沼津市大岡だそうです^^)

 

まずは駅徒歩すぐの愛染院跡の溶岩塚。

このあと紹介する楽寿園の正門の目の前にあります。

 

溶岩塚というのは、溶岩が塚のように盛り上がったところ。

 

溶岩流の末端部で、溶岩の流れがとまり表面から冷やされ固まりはじめたときに、後から追いついてきた溶岩の流れにより内部から突き上げられ、丘のようになります。

 

三島溶岩はこのように気孔が多いのも特徴です。

溶岩が固まるときに中の火山ガスの成分が外に噴出する際にできます。

 

では、お隣の楽寿園に行ってみましょう。

三島駅北口のいまの三島北高校あたりから、駅南口のこの楽寿園あたりを昔は「小浜山」といいました。

 

 

約1万年前、富士山のさらさらとした玄武岩質の溶岩流が、愛鷹山と箱根の山の間の谷を流れ下り、40kmも先のこの三島まで流れてきました。

 

この三島の付近が溶岩流の末端(終着駅)となったために、先程のような溶岩塚が多数でき、全体が大きな丘のようになりました。

だから「小浜山」という地名に。

 

この楽寿園の地盤はすべて三島溶岩です。

そして楽寿園の中には大小たくさんの溶岩塚がみられます。

 

この溶岩小洞穴も、中規模の溶岩塚の一部(断面)です。

小丘のように盛り上がりがありますね。

 

これも溶岩塚(たぶん)。

 

縄状溶岩とあります。

ハワイ島などにいくともっと細かく生々しく新鮮なものがみられますが、さらさらとした溶岩がなめらかな状態で固まったものをパホイホイ溶岩といいますが、これがそれにあたります。

 

富士山も様々な成分の溶岩をだしますが、二酸化ケイ素の濃度の低い、遠くまでさらさらと流れるような溶岩(まさに三島溶岩はこれにあたります)だと、こういう縄状に固まるんですね。

ハワイの縄状溶岩は過去のこのブログで

 

雲が池面に映っています。

溶岩だけでなくウユニ塩湖も楽しめる楽寿園。

 

動植物の楽園でもあります。

 

紅葉まではあと一歩。

静岡は温かいのです。

 

こういう乙な紅葉もみられるのが楽寿園。

 

縄状溶岩と自然の苔のコラボレーション。

 

さらさらとした溶岩が最後にここに流れつき固まった、1万年前のその瞬間を想像してみてください。

 

 

苔の下はすべて溶岩流の末端部。

地上で冷やされても数百度ありました(もともと玄武岩の溶岩は他の溶岩より高温です)。

 

別の場所にも縄状溶岩。

縄の形から、写真左から右に流れてきたのだと思われます(たぶん)。

 

これも溶岩塚の断面です。

 

「縄状溶岩」のプレートもありますが、苔が厚くわかりにくいですね。

 

この橋の下は「深池」と呼ばれていて、溶岩トンネルの天井部分が崩落したものと考えられています。

溶岩は外側から固まるので、トンネルが自然にできて、その中を溶岩が流れてくるんですね。

そうすると自然の溶岩のトンネルに囲まれて中の溶岩が冷えにくくなって、固まらずに、より遠くまで流れることが可能になります。

 

楽寿園を後にし、すぐ東隣にある白滝公園に。

 

ここでは、わかりやすい極めて小規模の溶岩塚が観察できます。

 

溶岩塚の理屈は、時に、七輪で焼いたお餅の表面が割れる様子に喩えられます。

まさに食べごろの焼き餅のような形をしていますよね。

 

ここでも縄状溶岩がみられます。

 

水が澄み切っています。

溶岩流の末端ということは、湧き水がでてくるということです。

 

湧き水の仕組みは、こんな感じ。

 

だからこのあたり、思わず住みたくなってしまうほど美しい水の街なのです。

 

ここは先程の白滝公園から徒歩すぐの菰池公園。

湧水なので、ここが川の「源流」になります。

閑静な住宅街に源流があるという贅沢。

 

彼女たちにも贅沢な環境です。

 

菰池公園からすぐのところにある鏡池。

 

池の水が多くて極めてわかりにくいですが水中に溶岩樹型がみられます。

ただし、樹木を溶岩が包み込んだ際に、樹木から発生した水蒸気が周囲の溶岩を爆発させた痕跡(スパイラクルといいます)は、この水上部分からもわかります。

ここは、溶岩樹型とスパイラクルの2つが同時にみられるスポットなのです。

 

樹木の周囲を溶岩が流れてきた際、樹木の形の部分だけ溶岩が流れず空洞になるので(あとで樹木の部分は炭化します)、丸い形が残るんですね。

 

広報みしま から引用しました。

水がないとこういう風に見えます。

富士山北側の溶岩樹形は過去のブログから

 

最後に、三島駅北口にも少しだけ挨拶しておきましょう。

 

駅前のロータリーからして、この溶岩流の痕跡。

すごい街、ジオの街、それが三島。

 

新幹線の高架横も、この溶岩。

 

廃線となり、痕跡もなくなってしまいましたが、つい数年前までこの高架下とこの道路部分には、廃線となった貨物の線路が残されていました。

東レの三島工場を往復する貨物列車でした。

 

かつてのように線路と溶岩流のコラボレーションはみられなくなってしまいましたが、溶岩流はずっと残されています。

 

みなさん、富士山の溶岩流がちょうど現在の三島駅あたりを終着駅にしてくれたおかげで、新幹線の駅を降りてすぐの場所でたくさんの富士山の溶岩流や湧水をみることができます。

ぜひ一度訪れてみてください。

平成30年11月

弁護士 永野 海

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