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蔵王火山(宮城県蔵王町)

これは山形新幹線の車窓から、つまり西側から撮影した蔵王連峰です。

こうして蔵王連峰の全体像をみると、長年にわたり複数の場所から噴火活動をしている火山ということが理解しやすいかもしれません。

実際、蔵王火山は、現在もばりばり現役の火山であるにもかかわらうず、なんと噴火史は100万年前まで遡ることができる、息が長すぎる火山です。

蔵王連峰は東の宮城県と西の山形県にまたがる山ですが、この衛星画像からわかるように、遥か東にある日本海溝から沈み込んでいる太平洋プレートが、この蔵王の地下100kmから120kmの場所に存在しています。

地下100kmという高温、特に高圧にさらされた太平洋プレートは、そのプレート内に取り込んでいる海水を絞り出されます。

絞り出された海水は、地下の岩石が溶けはじめる融点を押し下げ、これにより地下100kmにあるマントルの岩石が溶け始めます。

マグマの誕生です。

マントルの岩石から溶けだしたマグマは、周囲の岩石より密度が小さいため、浮力を生じ、上へ上へと上昇します。

そうして、上昇してきたマグマによって、定期的に、現在の噴火口であるこの御釜からの噴火活動を生じているわけです。

蔵王火山の噴火は100万年前まで遡れますが、現在の御釜の場所に火口ができたのは、つい最近、800年ほど前のようです。

そして、もっと最近の噴火は、1894年から1897年にかけてで、地下のマグマにより地下水が沸騰し、体積が1700倍にも膨張することでおこる水蒸気噴火だけでなく、マグマが直接山体の地下水に接触して生じる規模の大きなマグマ水蒸気噴火も発生させていたとみられています。

また、噴火により、湖水が溢れ火山泥流となり谷筋を流れ下った痕跡も残っています。

賽の河原には、火山弾らしいものも落ちていました。100年前の噴火で御釜から噴出したものでしょうか。

大黒天方向から五色岳をみると、侵食された山体の表面は、柱状節理のような模様にもみえますね。単なる侵食によって作られたオウトツかもしれませんが。

いずれにせよ、蔵王火山は、100万年前も現在も、現役ばりばりの火山です。

のんびりとした観光中でも、いつ水蒸気爆発による噴石が飛来してもおかしくないですし、大規模な噴火の可能性ももちろんあります。

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kikitaisaku/zaozanmap-170118.html
(宮城県 蔵王山火山防災マップ)

少なくともハザードマップを確認したり、観光前には、最新の火山の活動情報を確認してください。

令和1年8月

弁護士・防災士 永野 海

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