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濃尾平野の沈降と養老山地の隆起(養老町)

FDAで静岡空港から福岡空港に向かう座席右側。

写真中央、広大な濃尾平野を木曽三川(右から木曽川、長良川、揖斐川)が北から南へと流れます。

このあたりはわずか数千年前は海だった場所です。

濃尾平野は、プレート運動による日本列島の東西の圧縮の力を受け、写真右から左に向かって沈みこんでいます(傾動沈降)。

つまり、濃尾平野は左に行くほど低いので、木曽三川も、河口にいくにつれ西側をとおるようになり、最後は重なるように太平洋に注ぎます。

濃尾平野の基盤となる岩は、西にいくほど地下に傾いて沈み込んでいますから、その上には、山や川から流れ込んだ土砂が大量に堆積しています。

その上にわれわれは住んでいることになります。平野は、人々の暮らしの基盤となり、大きな平野がある場所に人が集まり、都市が形成されます。

しかし、平野になるような場所は、もともと洪水などで大量の土砂が流れ込むような低い土地ですから(昔は海でした)、豪雨のたびに洪水の危険もあるわけです。

自然による人々の暮らしと自然災害の危険は常に表裏の関係となる所以です。

さて、濃尾平野の傾いた沈降は、写真左の養老断層まで。

この切れ目を境に、西側は逆にプレートに押されて隆起し、逆断層地形を作り、現在、養老山地となっています。

常に激しい隆起を繰り返すので、浸食も激しく、養老山地からも大量の砂礫が低い濃尾平野に供給されています。

大きなエネルギーを放出する活断層として、地震に特に警戒が必要な地域でもあります。

令和2年11月 弁護士・防災士 永野 海

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