地層の科学 西川有司 日刊工業新聞社
おもしろサイエンスシリーズの1つです。
第1章 地層ってなんだろう?
第2章 地層の種類とそれができるまで
という具合に、章立てて構成されているだけでなく、各章のなかで、小テーマごとに読み切り完結型で基本見開き2ページに、図入りでわかりやすくまとめられているのが◎。
このため、読んでいて頭の整理がしやすいですし、読みたいところだけ飛ばし飛ばし辞典的に読むこともできて便利です。
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地層について興味をもった人は、とりあえず買って損はしないと思います。
地層の教科書基本から学べ、またそれなりに細かな説明もしてくれています。
個人的には、たとえば
チャートの堆積速度は一般に1ミリメートル/千年程度とわれ、5センチメートルのチャートの単層でも5万年かかります
などのちょっとした情報なども楽しいところです。
また地層と自然災害の関係についてもしっかりと教えてくれます。
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ただ、欲をいえば、読み進めるたびにわくわくと感動の連続、というには一歩足りない印象です。
少し辞書的な説明が多く、あるいは著者が辞書的な説明に頼りすぎているきらいがあるように感じました(あえてそういうスタンスで書かれているのかもしれませんが)。
できれば、それぞれのテーマごとに、これってすごくないですか?、とか、ここがポイントです!、ここが面白いところなんです!、というような著者の感動を共有させてくれるタッチだと、さらに生き生きとした読み物になるのにな、とそんなことを感じもしました。
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とはいえ、こうした構成のわかりやすい地層の本というのはそれだけで貴重ですから、ぜひ一度手に取ってみてください。
平成30年3月
静岡市清水区 弁護士 永野 海