丹那断層(静岡県函南町) 訪問記
なんでしょう,この写真は。
この時点で少しでもピンとくるひとはかなりの地学通です。
ここは,函南町にある,丹那断層公園。
伊豆のジオパークの1つです。
歩けば,一周1分もかからないような広さですが,このジオパークを侮るなかれ,少なくとも数千年単位の地質学ロマンを感じられる場所なのです。
さきほどのこの写真。
もともとサークル状になっていた石の集まりが,横ずれ断層の動きによって,左右にずれてしまった痕跡なのです。
サークルの上側が左に,下側が右にずれてしまっていますね。
別の方向からみてみましょう。
写真中央に先ほどの石のサークル。
写真左側と右側で円が切り離されてしまっています。
つまり,この円の真ん中が断層の境目。
この断層の境目で,右と左が上下にずれてしまっているのです。
写真奥側には,見えにくいのですが,赤色の支柱が立っています。
これがこの断層のラインです。
写真を上下に貫く断層なんですね。
もう少し俯瞰してみると,こんな感じ。
先ほどの写真は,上の図の一番下(丹那断層公園)。
さらにずっと上下に伸びているわけです。
上の図にも示されていますが,長い長い長い長い年月のこの断層の動きによって,図でAとBで示されている2つの川まで分断されてしまっています。
先ほどの石のサークルのずれは,1930年の秋の早朝にこの断層が動いた,北伊豆地震(M7.3)によって生じたものです。2m程度の断層の横ずれです。
272名の死者・行方不明者をだしました。
地震の周期としては,700年~1000年に1度。
この丹那断層公園の近くには,静岡のスーパーでよくみかける丹那牛乳の工場や,函南の美しい別荘地も広がっていますが,1930年が直近ですから,まあしばらくは,といったところでしょうか。。。
先ほどの断層跡を反対側からみた写真です。
奥に,なにか建物がみえますよね。
そう,これこそこの丹那断層公園の主役!
なんと,断層部分の一部を掘り起こして可視化してくれています。
法曹業界では,取り調べの可視化の議論に熱心ですが^^,断層の理想的な可視化がここに!
写真中央を左右に横切る丹那断層!
その部分を近くでみてみると,
こんな感じ。
写真中央の断層を境に,右と左の地層が見事に異なっていますね。
この断層が,写真の奥側と手前側にそれぞれ横ずれするわけです。
ずれた結果が先ほどのこれ。
この写真の左側にさきほどの掘り起こした断層の部屋があります。
うーん,すごい。
これぞジオパーク。
掲示板では,詳しく解説してくれています。
掲示板の写真の部分もわかりやすいですね。
写真のなか,上下に並べられていた2本の石のラインが見事に左右にずれています。
この解説もわかりやすいですね。
図のなかに,さきほどの石のサークルのずれと,建物内のXの場所の断層境界のラインでわかりやすく示されています。
Yのあたりにあったのが,赤い支柱です。
その延長では,度重なる断層の横ずれによって,河川さえも切り離されてしまったということです。
いかがでしたか,丹那断層公園。
こうした形で,シンプルに,わかりやすく断層そのものや,断層による動きが示されている場所は数少ないと思います。
伊豆観光の際,少し寄り道して訪れてみてはいかがでしょうか。
そして,ご自宅の近くに,あるいはご自宅近くの重要施設(病院?職場?市役所?あるいは浜岡原発?(苦笑))の近くに断層があるのかないのか,その断層はどのぐらいの周期で活動しているのか,インターネットで調べてみてはいかがでしょうか。
https://gbank.gsj.jp/activefault/cgi-bin/search.cgi
↑ 産業技術総合研究所による「活断層データベース 起震断層・活動セグメント検索」
静岡市清水区 中央法律事務所
弁護士 永野 海