平成25年3月に,日弁連災害全国協議会で訪れた宮崎県。

この年が確か私が日弁連の災害復興支援委員会の委員にはじめてなった年。

その翌年に静岡で災害全国協議会が開催されるというとんでもないことになったので,これはまずもって宮崎の大会を見ておかねばと出席したのでした。

 

(写真は有名な日本の滝百選の真名井の滝)

その際,訪問したのが高千穂峡(宮崎県高千穂町)でした。

しかし,高千穂峡を災害痕跡地として紹介するのも珍しいでしょうね。

 

前回,静岡の城ケ崎海岸の柱状節理を紹介しましたが,世間の認知度でいえば,高千穂峡の柱状節理が数歩先を行くでしょうか。

見事な柱状節理です。

 

柱状節理をおさらいすると,地上に流れ出した溶岩などが冷えて固まるときに,体積の収縮が生じて柱状の亀裂を生じたものです。

玄武岩などではきれいな六角柱の柱になります。この六角柱が一番安定した形状なので自然の摂理としてそうなるんですね。

 

しかし,この高千穂峡の柱状節理は溶岩が冷えて固まった岩石ではありません。玄武岩でも安山岩でもデイサイトでもないのです。

 

 

では何かというと,阿蘇山の噴火で発生した高温の火砕流がここまで流れてきて,ここで堆積してできた溶結凝灰岩の柱状節理なんです。

火砕流がいかに高温かという話は,以前,雲仙普賢岳の訪問記の際に書きました。

この数百度に達する火砕流は,流れが停止すると,自らの重みによって内部の火山ガスを外部に放出しながら圧縮していきます。

 

そして,圧縮するだけでなく,火砕流自体が極めて高温なので溶融しながら互いに密着していくのです(溶結作用)。こうしてできたのが溶結凝灰岩です。火山灰が溶けて固まった石という感じでしょうか。

高千穂峡は,高さ80〜100mに達する断崖が7kmにわたって続いているそうですから,これが火砕流の堆積物だと思うと,阿蘇山の噴火規模が想像されますね。。。

 

高千穂峡と阿蘇山の位置関係はこんな感じ。

30kmぐらいの距離でしょうか。

これだけの距離を阿蘇山の噴火から流れた火砕流がものすごい速度で駆け下りてくるということです。

やはり災害痕跡地として認識してよい場所ですよね,高千穂峡は。

しかもその噴火はわずか10万年前程度の話です。

ちょうど今,霧島連山の新燃岳の爆発的噴火で鹿児島空港の離発着ができないというニュースが流れていますが,噴火規模でいえば阿蘇山の脅威の比ではありません。

 

ここでは柱状節理の上からの断面も観察できますね。

溶結凝灰岩というのはもともと火山灰ですから見た目どおり浸食されやすく,そのため河川に浸食され,この高千穂峡のような美しく深い渓谷を作り出しています。

 

皆さんも高千穂峡を訪れることが将来あるかも知れません。

ここを単なるきれいな渓谷,きれいな滝のあるところとだけみるのではなく,ぜひ,柱状節理という言葉を覚えて,しかも阿蘇山からの火砕流が冷えて固まった溶結凝灰岩という珍しい柱状節理だという知識をもって観察してみてください。

そうすると,阿蘇山との距離関係は? 火砕流って? と噴火災害に対する意識が少し芽生えてくるのではないでしょうか。

 

事務所の大瀧弁護士の背中とともに^^

わずか5年前でもいまより元気にみえますね・・・(苦笑)

 

宮崎,神様と自然が同居するとてもすばらしい場所でした。

 

平成25年3月訪問

静岡市清水区 弁護士 永野 海