白倉峡の三波川変成岩 ぶらり防災の旅
シームレス地質図をみてみましょう。青印が白倉峡(浜松市天竜区)です。
赤印が大断層帯・中央構造線のイメージです。
中央構造線の内帯(北側)には
ピンクの1億年前の領家変成帯(花崗岩などが地下のマグマだまりなどの高温で変身した岩石),
外側(南側)には
黄緑の三波川変成帯(プレートが沈み込む地下深くの高圧で玄武岩などが変身した岩石)
がみられます。
白倉峡の周りは三波川帯の変成岩ばかりですね。
もっといえば,中央の円形部分はカルデラ噴火の痕跡ですが,この破局噴火が領家帯の岩石を吹き飛ばしているようにもみえますね・・・
では,三波川帯の結晶片岩を見に行く旅にでかけましょう!
新東名の浜松浜北ICができたのでアクセスは非常によくなりました。
白倉川沿いを上流に上がっていきます。
天竜杉のなかを進みます。
天竜杉は日本三大人工美林の1つですね。
土砂崩れの影響で通常のルートは通行止めです(平成30年のGW前から仮通行できるようです)。
でも,迂回ルートがありますので大丈夫です。
途中の山肌もすべて結晶片岩から成っており道中も楽しめます。
この部分は水が染み出して常に濡れている状態でした。
引きの写真で。
断層のような割れ目もありますね。
山肌はこんな感じになっています。
そして,
山深い林道を抜けると・・・
白倉峡がある美しい集落に到着です。
ちょうどお茶の収穫直前の時期。
お茶畑はきれいな黄緑色でした。天ぷらにしたら美味しそうです。
これが白倉峡の入り口の看板。
公衆トイレの横に車2台分ぐらいの駐車スペースがあります。
案内看板です。
白倉川まで整備された遊歩道を降りておきます。
遊歩道の全長は1kmほどでしょうか。
白倉川がみえてきました。
まずは美しい滝と滝つぼがお出迎え。
岩石は基本ほとんどが結晶片岩です。
ごく一部に蛇紋岩などもみられます。
下流側。
最上流部なので大きな岩石がみられますね。
白倉峡では石ころが拾えるポイントは数少ないですが,ここでは河原に降りることができます。
結晶片岩がたくさん落ちていますね。
遊歩道の下も結晶片岩。
片理面がみえます。
さらに遊歩道を歩きます。
紅葉シーズンには美しい姿に変身しそうなもみじ。
結晶片岩が同じ方向(上流側)に傾斜しています。
織姫橋と織姫渕で一枚。
なぜ織姫の名を冠しているのでしょうか。
断層運動によって領家変成帯と三波川変成帯の岩石が出会えたからでしょうか。
この脇からの白糸のような滝がとてもきれいでした。
河原の大きな緑色片岩。
やはり同じ方向に結晶片岩が傾斜しています。
この滝も非常に美しいものでした。
断層に沿った滝でしょうか。
さらに遊歩道を進みます。
面白い緑色片岩。
川の流れを受け続ける上流側だけが削られて平になっています。
これが上流側。
白倉峡遊歩道の最上流部です。
結晶片岩の断面がみえています。
いかにもという縞模様,褶曲模様ですね。
美しいです。
思わず拡大。
さらに拡大。
石英の脈でM字褶曲がわかりやすいです。
結晶片岩の巨石がダイナミックに切られています。
遊歩道の終点では,山肌に大きな崩落跡が。
こうした場所から結晶片岩の巨石が川に流れていくのでしょう。
季節は春。
ふきや草花がきれいでした。
白倉峡の集落の景色はとても美しいです。
歴史を感じます。
ぜひ紅葉シーズンに限らず,珍しい三波川帯の渓谷,清流をみに,白倉峡を訪れてみてください。
平成30年4月
静岡市清水区 弁護士 永野 海