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昇仙峡の花崗岩(甲府市)

日本を代表する景勝地である、御嶽昇仙峡(みたけしょうせんきょう)。

甲府市の北側の山地ですが、地質図をみると、赤色。

これは花崗岩を示す色です。

昇仙峡は、甲府市と甲斐市にまたがる荒川が花崗岩山地を削った渓谷です。

このマグマが地下で冷えて固まって生まれた花崗岩がいつごろできたのかはなかなか難しい研究テーマのようですが、

こうした論文によれば、流れとしては、

①1500万年前までころに日本列島がアジア大陸から離れて現在の位置まで移動

②その頃、あるいはその後、伊豆半島を含む伊豆バー(太平洋プレートのフィリピン海プレートへの潜り込みに伴う火山フロントの火山活動が作った火山性地殻)がフィリピン海プレートの北上に伴い、日本列島に衝突(丹沢など)

③その頃、あるいはその後、具体的には1500万年前から1200万年前ころに、昇仙峡を含むエリアの地下でマグマ活動が盛んとなり、甲府盆地北部を覆っていた四万十帯(付加体)や日本列島に衝突してくっついた南からの海洋性地殻に、花崗岩マグマが貫入した

④その後プレートに押されて地盤が隆起し、花崗岩体が地表に姿を現した

⑤河川が花崗岩体の山地を時間をかけて削り、現在の昇仙峡の渓谷ができた

というところでしょうか。

いずれにせよ、昇仙峡にみられる巨大な花崗岩体や、様々な表情をみせる花崗岩らしい直線的な割れ目が、荘厳な非日常の光景をみせてくれます。

ここでの「割れ目」というのは、地学の言葉では、節理といいます。

花崗岩はマグマが冷えて固まった岩石なので冷える際に収縮が起こり割れ目ができます。

また圧力の高い地下深くから地表に上昇してくる中でも割れ目が作られるようです。

では、昇仙峡エリアに入っていきましょう。

最後の数枚の写真が興味深いです。

ご覧のように、写真の下半分の岩は、左右に割れ目(節理)が走っていますが、上半分の岩は、上下方向に節理が走っています。

柱状節理でもそれぞれの節理の方向が、放射状など、ばらばらに向いていることがありますが、ここもそういうことなのか。あるいは、ぱっとみると、こういう地層は、別々の岩体が断層運動によって交わったにようにもみえますよね。

いかがでしたでしょうか。

なかなかここまでスケールの大きな花崗岩体を堪能できる場所も少ないです。

1000万年以上前に、このエリアの地下で活発なマグマ活動があったことや、そこで生まれた巨大な花崗岩体が、その後3つのプレートに囲まれて、押されるこの甲府の地で活発な隆起活動が起き、地表に顔をだしたその地球の活動の流れを想像しながら見てもらえればと思います。

令和2年3月

弁護士 永野 海

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