琉球石灰岩による聖地・斎場御嶽(南城市)
沖縄県の内部に位置する南城市です。
沖縄半島の南半分は、数十万年前から100数十年前にかけてこの地でサンゴ礁の死骸などが堆積した石灰岩(琉球石灰岩)の地層です。
南城市の写真のような台地上の丘陵は、この琉球石灰岩の地層が隆起したことで生まれています。
山の山頂部をみても、石灰岩が露出していますね。
堆積した過程が垣間見える地層模様もみえます。
南城市にある琉球王国最高の聖地、斎場御嶽(せーふぁーうたき)に行ってみます。
御嶽は、聖地の総称です。
琉球王国では、国の祭事で、神の島に位置づけられる久高島から聖なる白砂を持ち込み、御嶽に敷き詰めたそうです。
ここは祈りの場所なのです(ただし夏は行くまでに熱中症になりそうなほど暑いです)。
神聖な空気の漂う参道を進みます。
御嶽全体が琉球石灰岩からなる地形です。
奥にあるのが三庫理(サングーイ)。
久高島に向かって祈りを捧げる場所です。
見事な鍾乳石。
二酸化炭素を含んだ酸性の雨が石灰岩を溶かし炭酸カルシウムを含んだ状態で地下水として天井から染み出します。
染み出した地下水が徐々にこうしてつらら状の鍾乳石を作っていきます。
炭酸カルシウムの沈殿物です。
鍾乳石があったということは、ここがかつて鍾乳洞であったことをうかがわせます。
2つの琉球石灰岩が並び、美しい直角三角形のような空間を作り出しています。
猛暑の8月でもここだけは涼しい風が流れる不思議な場所でした。
かなりの巨石です。
奥に拝所があります。
聖なる場所とを分かつ象徴的役割を果たしているように見えます。
2つの巨石の接触部。
この拝所から久高島への祈りを捧げました。
神の島、久高島。
琉球石灰岩は、琉球の文化・宗教を支える石でもあるのです。
2019年8月
弁護士 永野 海