波の化石(漣痕) 室戸岬訪問記
世界ジオパークの室戸岬を訪問しました。
室戸岬は、日本列島がプレートの沈み込み帯で生じた付加体により構成されていることを実証した場所、として大変貴重な場所とされています。
いきなり付加体の話だと難しいので、まずは単発で、波の化石をみてみましょう。
波の化石は、漣痕(れんこん)、あるいはリップルマークと呼ばれます。
ここ室戸岬では、3500万年前、まだ日本列島がアジア大陸の東端にくっついていた時期の漣痕をみることができます。
漣痕は、海の底で、砂や泥が潮流によって作られた形をそのまま残すものです。
室戸岬のなかでも、ここ行当(ぎょうど)黒耳(くろみ)海岸で、リップルマークを観察できます。
室戸岬との位置関係ではこのあたり。
上記地図の駐車場に停めてください。
拡大するとこんな感じ。
砂岩層に、きれいに波の模様が残されています。
漣痕化石自体は、浅い海や川底など様々な場所でできますが、この室戸岬のリップルマークは、深海底で作られたものといわれています。
そのため、深海底にもちゃんと潮流があることがわかりますね。
いまでも、日々、天竜川などから運ばれた砂や泥が深海の南海トラフまで運ばれて厚い地層を作っていますが、こうした深海の潮の流れで運ばれているものなのでしょう。
色がついているので美しいです。
深海にあった波の化石が、この地上にあらわれているという事実こそ、室戸岬の地学的価値を形作っているものです。
ここでは、漣痕についてもわかりやすい解説板が設置されていました。
深海底の世界を直接目でみることができる貴重な場所。
ちなみにこの行当海岸では、地震による液状化の痕跡である地層を貫く砂岩の岩脈もみられます。
この看板にわかりやすく液状化と砂岩岩脈について説明がなされています。
これも災害痕跡の1つといえますね。
平成30年2月訪問
静岡市清水区 弁護士 永野 海