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西日本豪雨災害のボランティア活動から学ぶ ~行政とボランティアの連携を考える~

以下の研修会に参加しましたので、当日の登壇者の皆さんのお話をまとめます。
速記録ですので誤植や理解の誤りは何卒ご容赦下さい。
非常に示唆に富んだ報告会で大変勉強になりました。
「南海トラフ巨大地震等に備えた災害ボランティアネットワーク委員会」
西日本豪雨災害のボランティア活動から学ぶ
~行政とボランティアの連携を考える~
主催共催:静岡県、静岡県ボランティア協会、静岡県労働者福祉基金協会、静岡県社会福祉協議会
挨拶:静岡大学岩田先生
事例報告者:倉敷市企画財政局大橋さん、呉市社協近藤さん、JVOAD明城さん
シンポジウム:上記の皆様によるパネル

◎報告(倉敷市大橋さん)

・晴れの国といわれ想定外の災害
・これまで6.3万人のボランティア(新倉敷駅近くにボラセンが立ち上がることになったのが結果的に功を奏した。立地は大事)
・真備町。救助活動。水面に浮いている人がいても生存してなければ後回しにしないといけないほどの被害状況。
・真備ボラセン初日。5m先にいる職員に話ができないほどひっきりなしに声を掛けられ電話がなり、信じられない数の人。1日に2000人のボランティア。ボラセンに以後かかりきりに。(途中から避難所リーダーに)
・ボラセン運営スタッフもボランティア(通常職員は10人しかいない。2000人のボランティアはとてもさばけない)
・様々な支援申し出(片付けだけでなく避難所でのボランティア申出、物資の提供など多様)
・国のプッシュ型支援で一番よかったのは、災害ボラセンにエアコンを入れてくれたこと。
・市民では、2t車のカギを渡して自由に使っていいよといってくれた支援がありがたかった(しかし2日で被災地パンクしてしまった現地状況・・)
・発電機をもってきてくれた人もありがたかった
・他方困ったのはランドセルが流れている映像をみて中古のランドセルを裸のまま30個持ってきた人
・土砂の撤去。土砂にがれき・ごみが混ざってないと災害ゴミといえないといって持っていってくれない縦割り行政
・ボラセン組織 各役割 (受付、駐車場(誘導・交通整理・警備)、マッチング、移送資材、救護、電話対応、ニーズ受付、広報)
・土砂だしボランティア タイムキーパーを5人班で一人きめ、20分やって10分休憩を徹底させる役割を(避難所)
・職員も、着の身着のままで逃げたような住民の扱いに慣れていない
・職員には全員出動の号令がかかるが24時間ぐらい経つと一斉に同じタイミングで職員が疲弊していく。被災者の怒り悲しみ悩み涙、全て職員にぶつかってくる
・ありがたい支援(炊き出し 朝パンとおにぎり、夜お弁当の生活が数か月かかる。炊き出しは本当にありがたかった。カレーと素麺)
・しかしSNSで今日ここで炊き出ししますよ発信すると無数に避難所に人が集まり大混乱。
・テレビで総理が激甚災害。現場は遠慮なくといわれたが、現場は躊躇しまくり。コーヒーはし好品?牛乳は栄養補助でOK?コーヒー牛乳は???
・200人規模の避難所に2000人の避難所ぐらいが押し寄せた
・発災4日後ぐらいからペット避難所ができた
・避難所のエアコンもやはりプッシュ型支援としてありがたかった
・避難所の電気の容量を上げる工事などをしてくれればよかった、といまは思う

 

◎呉市社協近藤さん
・今日の時点でいまだに床下に潜っているし土砂だしもしている
・呉市(人口22.5万人)は29地区に分かれるがそれぞれの地区が道路が寸断され孤立している状態。広島県の中でも陸の孤島になった。人も物も呉に辿り着かない状態
・そのため愛媛から支援をもらおうとしたが宇和島市も被災しており支援が頼めなかった
・今日時点38500人のボランティアがきてくれた(広島県内最多)
・これは、常に先(たとえば1カ月先)を予測してボランティアにお願いすることを考え先に先に発信した。そのため支援が途切れにくかった
・広島市まで通常は高速道路で20分でいけるので片道6時間かかるようになった。その状況でこの人数のボランティアがきてくれた・大規模災害時、町が生き残るためには、他の自治体より先手先手を打っていかないと支援はこない。
・土砂だしをしてくれるボランティアも、何も知恵をださないと、呉にくるまでの被災地でとまってしまう。東からのボランティアは真備でとまってしまう
・大事なのは地域力と受援力。外部ボランティアが入ってこない中でどう復旧していくのか。
・地域力=地元住民ボランティアが7割8割を占めている
・受援力=必要なのは決断と勇気。社協もサラリーマン。平時なら相談を受けたら上席にまわして決裁。災害時は即決即断。

・呉市はこれまで5回目の災害救助法適用。自分も5回ボラセンの統括をしている。
・呉市は人口15万人以上の町で高齢化率一位。坂もある
・ボラセンの設置場所これまで変えている。H11は社協が入っていた建物にした。当初、慣れない中で、社協が管理するスペースに設置することで利便性を重視した。
・しかしこれが住民が求める形かと反省した。そのためH13の芸予地震では市役所本庁舎の1階裏側にボラセンを設置した。これにより行政の生きた状態を鮮度よく取得できる。報道関係者の目にもとまりボランティアの理解が得られる。

・さらにH16,H18は、市役所本庁舎の正面玄関にボラセンを設置した。市役所にきたらまずボラセンに目が留まる。被災者を中心にして活動できるように。被災者の喜び悲しみ怒りを正面玄関で受け止めることができる。行政にいくまえにワンクッションおける。その上で一度受け止めて行政につなぐ必要があれば行政につなぐしボランティアならボランティアへ←★深いなあ

・くれ災害ボラセン構成図(共同型にしている) JCが代表(←★へえ~)、その左右に行政と社協。さらに自治会連合会、民生委員児童委員協議会、共同募金委員会、その他NPOほか多数
・NPO法人は情報に強いので、ボラセン情報を発信するのはNPOに一任、ライオンズは資金、人材が豊富、連合は人が豊富(帯で入ってくれる) そうした各団体の強みを生かす共同型のボラセン運営
・社協は参謀役

・共同運営者の1つの組織である「行政」については、毎日一人専属の行政担当者をつけてくれるように要請。行政の窓口を明確にする。ワンストップで行政とつながれるように

・ボラセンは1本部7サテライト(最悪の被害があった西の天応地区はほぼ静岡の人たちでサテライト運営をしてもらった。地元社協は本来なすべきことに集中できた)
・天応地区は町全体が土全体で埋まっていた。少し時間が経つと白い砂浜になった。真砂土。
・家への出入りは1階が埋まっているのでみな2階から出入りした。平屋の家はどこに家があるかもわからない状態。絶望の中でそれでも掘るしかない。
・断水のつらさ。土砂だしだけでなく給水も必要だった

・医療ボランティアチームを組織し、在宅被災者をケアしてください、と特にお願いをした(避難所にいる人には医療ボランティアがくるが・・・)
・現在仮設住宅の支援をしているが、7月8月9月の一番大変なときから支援をしているので、被災者とのコミュニケーションがスムーズ

・建設型仮設が足りないのでみなし仮設にちらばっている。被災者の把握、支援がそれだけ大変
・災害時の資機材をストックしていたがH26豪雨災害ですべて広島県に寄付してしまっていた。(ここまでの広域災害を予測できていなかった)広島県からは広域災害なので資機材はまわってこなかった
・そのため静岡県に助けてくださいと心からお願いをし、静岡県ボラ協の小野田理事長や、静岡県社協から「必ず資機材を届けるから」といってもらい、実際届けてもらい、これで被災者を助けることができると思い涙がでた。


◎ JVOAD明城さん

・3.11以降の情報共有会議の整理
・行政とボランティアNPOの関係性の進化(2013.6災対法、2016.5防災基本計画、2018地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライン、2017.7防災における行政のNPO・ボランティア等との連携・協働ガイドブック、防災基本計画
・国の防災基本計画にも日赤、社協、ボランティア団体、NPOとの連携 / 地方公共団体は、社協、地元や外部から被災地入りしているNPO、NGO棟のボランティア団体、NPOと連携を図る / 情報を共有する場を設置するなどし、被災者のニーズや支援活動の全体像を把握する  などの言葉が入るようになった
・三者の連携とは 1行政 2社協(災害VC)、3民間支援セクター(NPOなど)
・愛媛県支援連携のイメージ コア会議(県社協の会議)、情報共有会議(えひめ会議)の2つ これらの会議体と、それぞれの地域の災害VCやそれぞれの支援団体が連携していく・情報共有会議などの中での課題(ニーズ)整理の項目 ①被災家屋への支援(土砂だし、公費解体など)、②避難所支援、③在宅被災者支援、④子ども障害者の支援、⑤仮設住宅の支援、⑥生業支援、⑦支えあいセンター見守りほ

・情報収集の重要性 たとえば半壊以上の家屋は公費解体するという通知があるとする。その場合、じゃあボランティアはどの家屋に対する支援を行うべきかという判断につなげることができる
・それぞれの団体の強み、対応できるできないがある。連携によって単体では解決できない課題を共有して解決につなげる

◎パネルディスカッション ~進行は岩田先生)

・(呉・倉敷)行政の災対本部にボランティアセンターの代表者が入ることの重要性(呉市は今回ようやく入れた、倉敷は入れなかった)行政からの情報が直接入ってこない
・(呉・倉敷)ただしさらに一本進んで、災対本部の中で情報を得るだけでなく本来は情報交換をして連携までできないといけないがそこまではいっていない(行政はボラセンからは、その日のボランティア人数を聞くだけで終わってしまっている)・(倉敷)行政ができることの限界も感じる。土砂に埋まり全壊とされた家屋も迅速に泥だしすればまた修理して住めるようになるが、対応が遅れるとカビが生え取り壊ししかなくなってしまう。そんなとき、ボランティアさんが泥だしをしている中で、行政は直接対応できなかった。

・(小村先生や時事通信の中川さんの問題提起)災害救助法の特別基準をもっと活用すべきである。普段からもっと行政側も、基本、なんでもできるという姿勢で、内閣府の過去の災害救助法の運用事例を勉強するなど対応しておかなければならない。

・(呉)全国から届く資材。最終的には被災者のため。しかし行政とボラセンのどちらに届いたものなのか、どちらが使うのか。普段から被災者のため、という視点で資材などの共有関係について議論しておかなければならない。

・(倉敷)災害救助法の話。現在、国に求償する段階になっているが、どれを求償してよいのか、ある種の開き直りも重要。そんな際、県の方から、「なんでもいってもらっていいよ」と一言いってくれるだけですごく大きい。県は知っておいてもらいたい。

・(倉敷)ボランティアのためのバスを一台動かすだけで1日10万円かかる。それを二カ月やるだけで・・・。

・(震つなの松山さんの問題提起)福祉避難所が実際には設置できない被災地が目立つがなぜ設置が難しいのか。(倉敷)本当に日常的にHELPが必要な避難者は実はそれほど避難所自体には多くなかった。自閉症、統合失調症、引きこもり、認知症の被災者などは避難所にもちろんおり、そういう方はかなり長期にわたり避難所で過ごすことになりがちだった。(呉)数は多くないが福祉避難所いくつかは開設された。数が少なかった理由の1つは、断水で施設も水がででなかったのもあるかもしれない。

・(倉敷)在宅避難者多数いた。わしゃ避難所はいかん!保健師がローラーでまわってはいくが全容把握できない。6000件ほど土砂に使っていたので特に当初は把握できなかった。(明城さん)難しい問題の分野。現在は最初から在宅被災者支援を申し出る団体もよくあるが、在宅被災者の把握がそもそもできる事例が少ない。保健師さんがまわっている地域はかなりあるが・・・。

・(明城さん)外国人のボランティアの対応、今回の水害ではあまり目立たなかかったが東日本ではかなりあったが、その対応のための受援力がまだ十分に整備されていない。今後の課題。海外の支援を活用するためにも前提としてスフィア基準の周知も重要。

・(倉敷)わしはもうええからこの犬だけはなんとか助けてくれと避難所にもってくるおばあちゃん。これは実際には断れない。4日後にペット専用の避難所。ペットにシャンプーをしてくれるボランティア頻繁に入ってくれた。

・(倉敷)本部でボランティアを受け付けサテライトに配置するシステム。(会場)なぜサテライトで受け付けないのか?(倉敷)直接サテライトの現地にボランティアが入ってしまうと大混乱。大渋滞。信号機もない。道も寸断。そこでやむを得ず本部で受け付けて配置することにした。ただし、団体のボランティアについては、直接現地に入ってもらう形もとった。(呉)呉の場合には、本部からサテライトという経路にすると、時間がかかってしかたがない(普段50分でいけるところが3時間)。これでは機能しないしボランティアがきてくれなくなる。そのため直接現地にいってもらう形にした。ただし駐車場がないという問題も発生した。そこは地域の受援力。地域住民に外部からのボランティアが必要だとまず理解してもらう。しかし駐車場がなくて困っているという相談をすると、住民自ら、じゃあわしがあの学校、あの会社に交渉してやる、と動いてくれる。地域力の活用。全てをボラセンがやろうとしない。

・災害対策本部などでの行政と社協・ボランティアの連携問題。各自治体の対応。
(静岡市)社協やボランティア団体が入ることは想定していないが、ボランティアの窓口となる市民局が情報共有、連携の窓口になる構成。(静岡県)県から社協などに出向いて情報共有する。(富士市)静岡市と基本的に同様。

 

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