三浦半島の蛇紋岩体 ぶらり防災の旅
横須賀市にあるJR衣笠駅です。
この駅の南側には珍しい蛇紋岩の山体がみられます。
(住宅地の中。写真奥が蛇紋岩体)
蛇紋岩(じゃもんがん)というのは,地球内部のマントルを構成する橄欖岩(かんらんがん)が水と反応することでできる岩石です。
より厳密には,超塩基性岩(火成岩のうち,鉄やマグネシウムが豊富な岩石(塩基性岩)のうち,特に二酸化ケイ素の含有率が低いもの)である橄欖石と水が反応して,蛇紋石と磁鉄鉱が生まれます。
橄欖石 + 水 = 蛇紋石 + 磁鉄鉱
名前の由来は,表面に蛇のような縞模様がみられるからです。
(急傾斜地崩壊危険区域の看板)
蛇紋岩は,水を結晶水として含む鉱物(含水鉱物)なので,風化しやすく崩れやすいのです。
蛇紋岩からなる谷川岳のような山は,特に滑落事故がしばしば起こってしまいます。
この衣笠の蛇紋岩体のすぐ横にもアパートが建築されていましたが・・・。
三浦半島の何か所かで,この珍しい蛇紋岩体がみられる理由には諸説あるようですが,
4500万年ほど前に何らかの原因で地球深部から上昇し海底に露出していた蛇紋岩体が,その後崩壊するなどして海溝などに堆積したあと,プレートテクトニクスにより大陸まで移動してきて最終的に三浦半島に付加体として付加されたものとも考えられています。
プレートテクトニクスにより運ばれてきた岩石ということです。
蛇紋岩は,断層運動の際に表面が磨かれる鏡肌(かがみはだ)ができやすい岩石です。
非常にぴかぴか,ツルツルしています。
この場所は,蛇紋岩体の露出を身近に観察できるとても貴重な場所であると同時に,プレートテクトニクスのダイナミズムを感じられる場所でもあります。
この衣笠の蛇紋岩体から持ち帰った蛇紋岩です。
何ともいえない美しい色合いで,独特のオーラを放つすばらしい岩石です。
平成30年3月
静岡市清水区 弁護士 永野 海