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三原山の噴火痕跡(大島町)

伊豆大島の三原山。

伊豆大島自体は、4~5万年前に海底火山活動により生まれたとても若い火山島です。

最近では、30数年ごとに噴火活動を繰り返し、数百年ごとに大規模な噴火を起こしています。

 

火山フロントについては何度も書いてますが、上図のような機序で、伊豆大島は誕生しました。

マグマを放出しては、また時間をかけて地下のマグマだまりにマグマを溜めては放出させる、その繰り返しです。

前回の1986年の噴火から30年以上経過していますので、次の噴火は間もなくだと思います。

 

 

大規模なマグマ噴火だと、三原山のような重点的に観測体制が敷かれている火山だとある程度の前兆をとらえることはできるのでしょうが、火山の地下水が地下のマグマに熱せられて急激に膨張して発生する「水蒸気爆発」などは、事前把握がかなり難しいのが現実です。

御嶽山の噴火災害が典型例です。

そのため、万一に備え、最低限、事前に最近の観測データを確認したり、噴石からの避難シェルターの場所を把握したり、三原山ならヘルメットの無料貸し出しを活用することなどをお勧めします。

 

 

三原山にはいくつか登山ルートがありますが、今回はもっともポピュラーな三原山展望所からのルートで登りました。

写真に、「外輪山」とあるように、ここは外輪山なんですね。

ということは、三原山は、阿蘇の中岳などと同じ、外輪山の中のカルデラ内にある中央火口丘(内輪山)ということになります。

 

 

さて、ここはハワイ島かと錯覚するような景色の中、登山開始です。

マップ上は山頂まで2.2km、所要時間45分と書かれてありますが、ほんまかいな、と思うほど遠くにみえます。

 

 

途中まではカルデラ内の平坦な道で楽ちんです。

 

 

わずかな登り傾斜。アスファルトで整備され、登山というよりは、散歩、トレッキングです。

山頂からつながっている黒い数本のラインは、1986年の噴火の際に、大量の溶岩が噴火口から溢れ、内輪山の外側に流れ出した溶岩流の痕跡です。

 

 

歩いていくと、その1986年の溶岩流の先端部のジオ看板発見。

ちなみに、この溶岩流とは別に、外輪山の外で発生した割れ目噴火の溶岩流は、伊豆大島の裁判所のすぐ近くまで流れ迫りました。

 

 

(溶岩流の先端部付近)

溶岩流の表面は、アア溶岩といって、がさがさです。

七輪で焼いて焦げすぎたお餅のような。

 

このあたりの溶岩はこんな感じです。

 

この断面などわかりやすいですが、上はガサガサトゲトゲでも、空気に触れていない溶岩流の中はじっくり冷えて固まって、このような玄武岩らしい層を作っています。

 

 

山頂から流れ、ここで止まった溶岩流の様子がよくイメージできます。

 

 

横からだとこんな感じで。

 

 

その後急に傾斜がきつくなった登山道を上っていくと、出発した展望所がはるか遠くに。

その奥は伊豆半島です。

雲がなければ富士山も見えます。

 

途中何か所かにこうした火山弾など含む噴石を避けるためのシェルターが設置されています。

ただ、巨大な火山弾でこのコンクリートが耐えられるか、若干不安になりますが。

 

ほどなくして山頂が見えてきました。あと少し。

 

 

前日のような強風もない、平穏な山頂に到着。

右は三原神社。

左の溶岩の塊は、アグルチネートと呼ばれるもので、説明によると、なんと火口を満たした溶岩の上に、比重が軽い溶岩が流氷のように浮かび500mほど流されてここで止まったもの、とのこと(その間に様々な溶岩以外の火山砕屑物が付着しています)。

相当なイマジネーション力が求められますね。

そもそも、このいまは空っぽの噴火口が、わずか30数年前に、チーズフォンデュのように溶岩で満たされていた光景自体が想像しにくいです。

 

 

一礼しつつ三原神社を参拝します。

下り道の参道というのはなかなか珍しいようです。

 

 

すぐに拝殿に到着。

わかりますか? 昭和の噴火では、溶岩流がこの拝殿の手前で2つにわかれ、拝殿が無事でした。

写真からもわかるように、現場でみても、ちょっと信じがたいほどの奇跡的な溶岩流の流路だと感じました。

 

ということはこの看板にも記載されています。

 

 

いやはや不思議、この迫り具合!

 

有名なゴジラスポットを、一応撮影しながら(ただし、撮影者の関心が低いためゴジラにみえない角度から撮っているという)、一路、噴火口へ。

 

 

噴火口の周辺にはさまざまな火山弾が。

火山弾の成因には諸説あるのかもしれませんが、読んだ中では、溶岩に満たされた火口に落ちた既に固まったか、固まりかけた溶岩や既存の火山岩が、チーズフォンデュのようにどろどろの溶岩の衣をまとい、その後、爆発により空中に放出され、空中で表面を覆った溶岩が固まり、火口周辺などに落ちてきたもの、という説明に説得力を感じました。

 

中心部も含めてすべてどろどろの(巨大な)溶岩が、空中で全て固まるとは考えにくいし、実際、割れた火山弾をみると、中心部と表面の皮との二層になっているようにも見えたからです。

 

そんなことを考えつつ、噴火口到着。

すごいスケールです。

 

壁面をみると、白っぽい部分は、柱状節理のようにも見えますね。

こんな場所でも存在するのだと驚きました。

 

火口内には、この日は、ほとんど噴気も見られませんでした。

 

 

一番風が弱そうな時間帯を選んだので、安全に内輪山の火口を一周できそうだったので、迷わずお鉢巡りへ。

 

 

周囲を縁取っているのは、外輪山です。

つまりその中はカルデラ。

このカルデラは1500~1700年前(*万年前ではありません)という、つい最近の大噴火で作られたもののようです。

 

このあたりでは、玄武岩質の溶岩特融のさらさらとした溶岩流の流れが生み出す、縄状溶岩があちこちに見られました。

 

非常に美しい内輪山の淵と外輪山、その向こうの太平洋と伊豆半島のコントラストですが、強風時はくれぐれも滑落にご注意を。

 

遠くには利島、新島などの姿。

 

 

ひたすら歩きます。

 

火山観測機器を発見。

 

 

そして南側からの噴火口。

さきほどの火口西展望所よりもこちらの方が迫力があります。

余裕があればぜひ火口一周をお勧めします。

 

ここが溶岩で満たされた30年前の姿を想像すると、恐ろしいですね。

ゴジラもここに沈められました。。。

 

ここで約半分、残りの歩みを進めます。

 

この馬の背のようなルートです。

 

巨大な火山弾。

内部がまだ熱く膨張しているために、冷やされた火山弾の表面にひび割れができる、パン皮火山弾のようにみえます。

 

見ているだけで飽きません。

 

前日に歩いた櫛形山と裏砂漠が見えています。

国土地理院上、日本唯一の、「砂漠」らしいです。

 

 

遠くにはスコリア丘もみえますね。

 

あともう少し。少し噴気がありますね。

 

ここは1986年にカルデラの外側で発生した割れ目噴火跡のくぼみです。

奥が盛り上がっているのは、割れ目火口から噴出したスコリアなどが堆積したためです。

 

グーグルマップでいうと、このあたり。

B火口列と呼ばれています。

 

火口一周の最後に登場するこれも巨大ですね。さきほどと同じアグルチネートでしょう。

 

三原山、日本では珍しい玄武岩の溶岩をだす若い力がみなぎっている火山島です。

短い周期で噴火活動を繰り返していますので、噴火のリスクは常に頭に置く必要がありますが、非常に貴重なジオサイトの1つです。

機会があればぜひ三原山トレッキングを計画してみてください。

 

平成31年4月

弁護士 永野 海

 

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