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箱根火山の外輪山たる幕山(湯河原町)

箱根火山は、40万年ほど前に活動を開始しました。

この地質図からわかるように、芦ノ湖を含むカルデラ地形のまわりを外輪山が取り囲んでいます。

このカルデラや外輪山を形成する火山活動は23~13万年前のことと分析されています。

地質図上のマークのところが、今回ご紹介する湯河原町の幕山(まくやま)です。

 

 

写真奥にみえる盛り上がった山が幕山。

箱根火山は外輪山ができたあとに、中心部で大噴火が生じカルデラを作りました。

同時に、外輪山の裾野も火山活動が活発になりました。

幕山はそのときに生まれた山です。

 

 

特徴的な山容です。

実はこの幕山、巨大な1つの溶岩ドームでできた山なんです。

 

この幕山、2月から3月にかけては梅林で有名ですが、それ以外の時期はロッククライミングの聖地として知られています。

他方、ジオパークとして訪れる人はそこまで多くないようです(^^;

 

 

溶岩ドームは、雲仙普賢岳のときに世間的にも有名になったと思います。

特にデイサイト質の粘り気の強い溶岩は上昇してきても、噴火せず、盛り上がった状態のまま冷えて固まることがあります。

洞爺湖の昭和新山なども溶岩ドームそのものです。

しかし標高626mもある溶岩ドームとはすごいものです。

 

 

幕山はところどころ岩肌を露出させています。

これが歌舞伎の幕のようにみえることが、幕山の由来です。

 

 

湯河原と聞くとほとんどの方が温泉だけをイメージするでしょうが、箱根大火山の南東の外輪山からなる地域ということをぜひ知ってください。

箱根火山はそれほどの大火山だったのです。

 

 

幕山周辺には、たくさんの貴重な日本たんぽぽが見られました。

たんぽぽの裏側の総苞片が閉じている(反っていない)のが日本たんぽぽの特徴です。

蜜蜂がたくさんの花粉を集めていますね。

日本たんぽぽは西洋たんぽぽと違い自家受粉できないので、蜜蜂が命の承継者です。

 

 

美しい自然の中を歩き進めると、

 

 

ところどころに巨石が。

白っぽい部分は流紋岩質、灰色っぽいところはデイサイト質です。

こうした岩肌をクライマーは登っていくんですね。

 

 

10分ほど進むと見えてきました。

この岩肌は、

 

 

 

そう、柱状節理ですね。

幕山では、六角柱ではなく四角柱の柱状節理が多いそうです。

 

 

湯河原が箱根火山の一部であることを教えてくれる自然痕跡です。

 

 

幕山のあたりからは遠方に相模湾がみえます。

 

 

 

真鶴半島まで降りてきました。

実はこの真鶴半島は、幕山の火山活動と同時期、15万年前ころのこのあたりの火山活動によりできた半島です。

 

 

活発な火山活動の時代に、いくつもの火山から流れ出した溶岩が作り出した地形なんですね。

 

 

真鶴半島の海岸の溶岩。

 

 

真鶴半島の先端には、有名な岩礁(大潮でつながります)、三ツ石(正式名称は笠島)があります。

 

 

これも箱根火山の活動の立派な痕跡であるわけです。

湯河原にせよ、真鶴半島にせよ、なかなか箱根火山と結び付けて考えることはないように思いますが、箱根火山がいかに周囲の地形、地質に影響を与えているかがわかる場所だと思います。

 

令和元年5月

弁護士 永野 海

 

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