牧之原の子生まれ石(with鎌田浩毅先生)
9月30日の夜半、静岡を台風24号が襲いました。
写真は、台風翌日に、御前崎灯台からみた遠州灘です。
台風一過の青空に、一面白波です。
台風は、静岡県中西部に数日間の停電という大きな爪痕を残しましたが、
他方で、御前崎から帰るに帰れなくなってしまった京都大学教授の鎌田浩毅先生(写真中央)と、小さな命の意味を考える会の代表佐藤敏郎先生(写真左)をもう1日静岡に留めおいてくれました。
前日の防災講演会、午前中が鎌田先生による富士山噴火・南海トラフ地震に関するご講演、午後が石巻市立大川小学校をテーマとした佐藤先生や私の講演だったのです。
ということで、この日(正確には前夜から)は、私にとって地学、地球科学の神様であり、地球科学の虜になるきっかけを作ってくださった鎌田先生の地学特別授業を受けるという幸運に恵まれることになったのでした。
それを祝福するかのように、御前崎からは、富士山全景がきれいに。
いくつかの地学スポットを訪れましたが、その1つが、牧之原市の大興寺(だいこうじ)の裏山にある子生まれ石。
由来が書かれてあります。
代々、このお寺の住職が亡くなる前には、必ず裏にある川の崖から、まゆ形の石(砂岩です)が落ちてくるという遠州七不思議の1つ。
お寺には立派な結晶片岩が。
この変成岩にみられる縦横の石英の流れを、これが第一次、これが第二次と、鎌田先生に解説していただきました。
子生まれ石がみられる沢の入り口です。
場所はこのあたり。
さがら子生まれ温泉会館が1つの目印になります。
巡検中の(笑)鎌田先生。
やはり小太り法律家の後ろ姿とは全然違います(゜.゜)
ここが子生まれ石の観察場所。
川の奥側の砂岩の地層中に、半分顔をだした子生まれ石があるのが見えるでしょうか。
アップしてみると・・・
2つありますね。(いや、その右にも?)
この子生まれ石は、地学的には、ノジュールといって、ここでいう砂岩のような堆積岩中にみられる母岩よりも固く膠結(こうけつ、セメントのように粒子と粒子の間を別の鉱物が充填して硬くなること)したものです。
別の説明によれば、化石や砂粒などを中心の核として、岩石中の珪酸や炭酸塩などが濃集沈殿しながら固まったもの、なのだそうです。
既に、地層から落ちたノジュール(いつの住職が亡くなったときのものか・・・)。
別のノジュール。
鎌田先生によると、こうしたノジュールは、何万年、何十万年という時間をかけて作られていくのですが、途中で形成が「終わった」という事実が大切なのだそうです。
ノジュールと共に鎌田先生と1枚。
こちらにも別のノジュールが砂岩層に埋まっています。
だいたい同じような地層のラインにノジュールが多く集まっていることには何かしら意味があるのでしょうか。
たとえば、その部分が堆積した地層(時代)には、たくさん化石が含まれていた、とか。
人工物かと見紛うほどのきれいな球状です。
砂の粒と砂の粒の間に炭酸カルシウムや何かがたくさん詰まっているのでしょうね。
長い時間をかけて川の流れが侵食していく中で、ノジュールの周囲の比較的浸食に弱い砂岩層の部分が削られ、この硬いノジュール(子生まれ石)だけが残り、きれいな形状のまま砂岩層から落ちてゆくのでしょうか。
ここでは、鎌田先生からタービダイトの授業を受けました。
私などは、タービダイトといえば典型的な比較的細かな砂岩泥岩の互層しかイメージできていなかったのですが、タービダイト(混濁流の堆積物)には様々なものがあることを知りました。
川沿いにあるお賽銭箱にあるノジュールはきれいな球状でした。
ノジュール自体については、この解説文がとてもわかりやすかったです。
https://www.chart.co.jp/subject/rika/scnet/50/Snet50-1.pdf
また、この牧之原の子生まれ石についてはこのサイトがお勧めです。
http://www.geocities.jp/unkonshi21/nojuru-koumareishi.html
ノジュールができる形成過程についてはまだ十分に明らかになっているとはいえないところもあるようですが、
なにはともあれ、私にとっては貴重な貴重な鎌田先生の特別実習の場として、忘れられない場所になったのでした。
鎌田先生、そしてご一緒に授業を受けていただいた?佐藤敏郎先生、また御前崎全域を庭のようにご案内いただいた松下さん、どうもありがとうございました^^
平成30年10月1日訪問
弁護士 永野 海