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北武断層と建築規制 ぶらり防災の旅

(地震調査研究推進本部より引用)

図のように,三浦半島には多数の断層が走っています。

これは付加体が次々に大陸に付加されていった三浦半島の形成過程とは無縁ではないと思います。

このなかで特に横須賀市を走る北武(きたたけ)断層に注目したいと思います。

 

横須賀市野比四丁目の野比東公園です。

実はここは,

 

こういう形で北武断層が貫いている公園です。

Aの部分は典型的な断層鞍部の地形です。

断層鞍部=断層がとおることによって地盤がもろくなり破砕されくぼみになっている部分

 

しかし,ここは公園をたまたま断層が走っているのではなく,

断層があるから公園にした,という珍しい場所なのです。

 

このマンションの存在が気になるわけですが・・・

横須賀市では活断層上の建築物の安全確保を意識し,対応策として,都市計画法に基づく地区計画等により活断層周辺の建築を規制する取組みがなされています。

 

具体的には,ここ野比四丁目地区は新規開発事業地区だったんですが,地区計画制度により,北武断層の両側25mでは建築を規制しました。

そのため,公園として活用されているのです。

 

(遠くには東京湾も望める新興住宅地域です。写真外右側が先ほどの断層鞍部)

活断層だからといって直接に建築を規制する法律がないなかで条例や,この地区計画制度などで市民の安全を守る取組みが各地でなされています。

ただ,科学的には,両側25mで安全だとは言い切れないわけですが,住民合意等のなかでぎりぎりの選択であったことが想像されます。

 

先ほどの公園の反対側です。

この谷筋を北武断層がとおっている可能性があります。

 

野比自然地として保全されています。

 

北武断層は,わかっている限りの最新の活動時期は,6~7世紀です。

平均的な活動間隔は,1900~4900年程度ではないかと推測されています。

衣笠・北武断層としては,単独で動くとM6.7程度(想定によってはM7.0程度かそれ以上ともいわれています),1m程度のずれが生じるものといわれています。

 

前述の予測はかなり信頼度に疑問が残るものですので,次の活動が明日起こっても不思議はありません。

また,定期的に発生する海溝型地震である関東地震(関東大震災を引き起こした地震)の際にこの断層周辺の被害が大きくなる危険性もあります。

どのような形で活断層周辺の住民の安全性を確保するのか,とても重要な課題です。

 

(写真奥に小さく写っているのが野比温泉・・)

 

他方で,この公園のすぐ近くには,天然温泉の野比温泉(横須賀市野比4-3-5)もありました。

時間が足りず残念ながら入浴できませんでしたが,断層の近くに良質な温泉あり。

自然災害と自然の恵みは表裏一体であることもまた事実です。

 

平成30年3月

静岡市清水区 弁護士 永野 海

 

 

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