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(番外編)ハワイ島の溶岩 ぶらり防災の旅

たまたま撮影できたハワイ島の美しい夕焼けです。

というのはもちろん本稿のテーマではなくて・・・

 

(Googleearthでみたハワイ諸島 矢印の部分)

きれいに西北西の方向に一列に並んでいますね。

これはこのハワイ諸島の下にホットスポットと呼ばれるスポット的にマントルが上昇しマグマが発生する場所があるために,そのホットスポット上に絶えず海底火山噴火による新しい島が生まれる一方で,

太平洋プレートが西北西の方向に絶えず動いているために,島ができては西北西に移動し,また次の島が生まれ,また西北西に移動し・・・

という地球のダイナミズムの結果,こうした一列の火山諸島が残されているわけです。

 

(マウナケアの中腹からみたマウナロア山)

ハワイのようなホットスポット火山では,玄武岩質の溶岩を噴出します。

玄武岩質の溶岩は,安山岩やデイサイト,流紋岩などと異なり二酸化ケイ素の含有率が低いために,さらさらとした粘性の低い溶岩が流れます。

そのため,上の写真のような緩やかな傾斜の火山が生まれます(典型的な楯状火山)。

雄大,壮大で,あまりのスケールに間近でみていると恐ろしくなってくるほどです。

 

こちらは天体観測で有名な,マウナロアの横にあるマウナケア。

こちらもやはり緩やかな傾斜の火山ですが,マウナロアとは規模がかなり異なります。

マウナ・ロア山は,標高こそ4169mと富士山とそれほど変わりませんが,体積は75,000km3と富士山の50倍!

地球上でもっとも大きな体積の山です。

裾野の広さが120kmもあるのですから・・・

さらにいえば,マウナ・ロア山は海底火山なので少なくとも海底から高さを換算するのがフェアなわけですが,海底からの高さは9000m以上もあります。

 

(残念ながら悪天候下のキラウエア火山の噴火口)

マウナロアは1984年以降しばらく噴火してませんので,今回は今日も噴火を続けているキラウエア火山を中心に。

 

キラウエア火山ももちろん同じホットスポットの原理による火山ですから,玄武岩質の溶岩です。

 

キラウエア火山の活動は,30万~60万年前ころから始まったと考えられています。

しかし,噴火が続き海底火山が海上に姿を現したのは比較的最近の話です。

ホットスポット火山であり,太平洋プレートは今日も西へと動いていることから,ホットスポットを通り過ぎればオアフ島のように噴火しない火山島に変わります。

しかし,当然,また次の火山島がホットスポット上に新たに生まれるわけです。

 

キラウエア火山の周辺にはジャングルのようなシダ植物の密林がみられます。

 

過去の溶岩の通り道が残されたトンネル内を歩くこともできます。

 

遥か遠くの太平洋まで続く溶岩大地。

 

この道路は溶岩が通り抜けたあとに新たに整備されたものです。

 

ハワイ島の地形のスケールの大きさには驚かされます。

 

 

極めて粘性の低い溶岩はこうした痕跡を残します。

 

縄状溶岩の名の通り,まさに縄のようですね。

ハワイの溶岩に典型的にみられるようなパホイホイ溶岩の場合にこうした縄状構造がみられます。

 

これなどは袋を縛ったように細かくなっていますね。

富士山なんかも玄武岩質の溶岩を噴出しますので縄状溶岩ができますが,ハワイの火山の流動性の高さはさらにすごいです。

溶岩が波のように押し寄せるほど粘性が低くさらさらしているといことです。

 

これはかつての旧道です。

溶岩の進出を受け道路の機能を停止しています。

 

かつての痕跡と溶岩の流れをセットでみると,状況がリアルに想像できますね。

 

溶岩のあとにも草は力強く茂り始めます。

 

こんな風に。

溶岩の表面もよくわかりますね。

 

縄状溶岩の上に立つ少年。

 

こんな姿にも。

面白いですね。

 

この日はあいにく終始,雨と霧。

マグマは霧に覆われていました。

 

ハワイ島は,ホットスポットや太平洋プレートの動き,マウナロアのようなすさまじいスケールの楯状火山,典型的なパホイホイ溶岩と縄状の構造などが観察できる貴重な場所です。

 

昭和新山や雲仙普賢岳のような溶岩ドームを作るような粘性の高い(二酸化ケイ素の含有率の高い)安山岩やデイサイトの火山,溶岩との違いに注目してみてください。

平成27年8月

静岡市清水区 弁護士 永野 海

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