花折断層の痕跡(京都市)
京都市左京区にある京都大学です。
京都大学の東側にあるのが標高100mほどの吉田山(よしだやま)。
この山が生まれた原因に、花折断層(はなおれだんそう)が関係しています。
花折断層は、京都市を南北に走る活断層です。京都大学のあたりに存在するのは花折断層帯の南部の断層ですが、この断層の詳しいことはあまりよくわかっていません。
平均活動周期(直下型地震が起きる周期)は、数千年に一度程度ではないかとみられています。
この吉田山の西側を花折断層がとおっています。
この数十万年、花折断層が繰り返し動くごとに断層の東側が隆起し、この標高100mほどの吉田山ができました。
写真の吉田神社の鳥居の後ろに階段がありますが、これは花折断層による断層崖(だんそうがい)といえそうです。
写真右は京都大学農学部の建物ですが、このあたりから写真左(東側)に向かって傾斜が生じています。
京都大学から大文字山に向かって上り坂になっています。
キャンパスの東の橋から京都大学をみると、かなり下っています。
ちょうどこのあたりを写真左右に花折断層が通っていますので、断層の活動が作り出した傾斜といえそうです。
さらに東へ進みます。哲学の道をこえて大文字山へ。
銀閣寺の境内の傾斜を上って京都市内を望みます(この銀閣寺の背後の山の傾斜自体、鹿ケ谷断層が作りだしたものです)。
銀閣寺の背後に、さきほどの吉田山がよくみえます。
大文字山の中腹の展望所からはより一層花折断層の地形が望めます(ここまでの登山は40分程度)。
花折断層と吉田山の関係はこのとおり。
吉田山は花折断層帯の南部の末端です。
末端なので、そこに押し付けられた力が集まり、先端部が膨隆(隆起)したのが吉田山と説明されています。
京都は、南北に数多くの活断層が走っています。
そのため、中心部から少し歩けばたくさんの断層地形を感じることができます。
令和2年1月
弁護士 永野 海