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白亜紀の津波痕跡(田野畑村)

田野畑村の平井賀漁港です。

他の東北沿岸部と同じく、この場所も見上げるような高い壁(防潮堤)が浜を囲んでいます。

 

この平井賀漁港では、前記白亜紀後半(1億1000年ほど前)に、浅い海で堆積した宮古層群の見事な露頭がみられます。

 

この漁港内の見事な1億年前の地層をよくみると

 

砂岩や砂岩よりもう少し粒の小さなシルト岩の地層の中に、異質な地層が挟まれていることがわかります。

 

 

サンゴの化石のブロックを多数取り込んだ礫岩の地層です。

 

浅い海に堆積する砂やシルト。

それらによる地層の中で突如として現れるサンゴを含んだ礫層は何を意味するでしょうか。

 

諸説あるようですが、この礫層は相当な流れで作られ(堆積し)ていることから、白亜紀の時代の津波痕跡と考えられています。

田野畑村では、近世の複数の津波石とともに、1億年前の津波痕跡までみられるということです。

 

この地層は、まだ日本列島がアジア大陸の東端にくっついていた時代に堆積した地層です。

当時は、フィリピン海プレートはまだなく、イザナギプレートという海のプレートがアジア大陸(ユーラシアプレート)に潜り込んでいました。

 

 

その潜り込みの速度は、年間20-30cmというとてつもない速度でした。

この時代にも海のプレートが陸のプレートに潜り込んでいる以上、当然、海溝型地震が繰り返し発生しており、そのため津波も定期的にアジア大陸を襲っていたものとみられます。

その後この地層は日本列島が大陸から切り離され移動し、現在の岩手県田野畑村まで引っ越ししてきました。

一億年の時間の流れを感じられますし、その間、ずっと地球はいつもどおり呼吸をするように活動してきたことがわかります。

津波はそんな地球が生きている痕跡そのものでもあります。

2019年7月

弁護士 永野 海

 

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