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名古屋大学減災館(名古屋市)

名古屋大学の減災館をご紹介します。

地下鉄東山線の名古屋大学駅から徒歩数分です。

展示スペースは決して広くありません。

1階2階で構成されますが、面積は限られており、2階は図書スペースと後述のギャラリートークの場所なので、実質的な展示スペースは1階のみ。

ただし、限られたスペースに、ぎゅうぎゅうに防災・減災のための体験装置が詰め込まれているので、密度は高いです。どんどん紹介していきます。

津波がどのような動きを示すかを視覚的に体感できる装置。

自分で操作して、このように波が生まれるので、子どもは喜ぶと思います。

続いて、波の力が放射状に伝わっていく様子を可視化できる装置。

寒天をぎゅーーっと自分で押すと、特別な板をとおすことで、このように力がどのように加わっていくか、伝わっていくかをこれも視覚的に感じることができます。

地盤の強さ弱さと、それに対処するための建築上の「基礎」の種類を学べる装置。

これが意外に面白い。

切土の下は固い岩盤なので上から押してもびくともしないけど、盛土の上はふにゃふにゃです。

こういう場所に家を建てると大変です。

地盤が強い弱いで、基礎の広さが異なっていますね(こういう風にお金をかけて適した基礎をしてくれればまだいいわけですが・・)。

岩盤まで掘り下げた基礎は頑丈です。

次は杭や柱状改良広報です。

柱状改良は、コストも限定的なのでよく使われますが、部分的にコンクリートを地面にまぜて柱を作っていくんですね。

実際その上の部分を押してみてもほとんど動かない。頑丈です。なるほど。

さらに軟弱なら地盤を根本的に改良する工法。

いやあこの展示物はとても勉強になりました。

これは地盤の粒子がつまっているかどうかでどれだけ地盤の固さがかわるかを感じる装置。

何もしないと砂にさした棒はするっと抜けますが、横からハンマーでトントンたたいて粒子を密にしたあとでは、棒をもったらそのまま試験管ごと持ち上がります。

しっかりと杭がささっている感じですね。

これはよくみる液状化体験装置。

入れ物を一度ひっくり返してもとに戻したあと横からトントン叩くと、中に隠れていた丸い球が地層の上に浮き上がってきます。

トントン叩いているのは地震です。さっきの別の装置と同じで、地震によって粒子が密になると、もともと粒子と粒子の間にあった水分(地下水など)が上に一気に押し出されます。

その押し出された勢いで丸い球が地上に押し出されたんですね。

これが液状化。

これはぐるぐるレバーを回して地震を起こしたときに、固定していない家具がどれだけひっくり返るかを学ぶ装置。

 

これは地震で高層ビルがどれだけぐにゃぐにゃ曲がるか体感する装置。

地震の種類(長周期、短周期)で、ビルの揺れ方がどう違うかを感じる装置。

これはスイッチをいれるとプレートが沈み込みます。沈み込むプレートの上に盛り上がった部分があると(その究極がプレートの上にくっついた海山か)、潜り込むときに大陸のプレートにひっかかって、大陸のプレートを引きずれ込みます。

それが耐えきれなくなると一気に、パンっと大陸のプレートの端が跳ね上がります。

プレート境界の海溝型地震ですね。

2階では定期的にギャラリートークと題したプチ講座が開催されています。

この日は名古屋大学の鷺谷威教授による「千島海溝の巨大地震」についての約1時間の講座でした。

とても贅沢なイベントです。

そして今回もっとも衝撃を受けた装置が、1階にあるこれ。

よくある地震動を再現する装置に映像がコラボされ、揺れを視覚的にも感じることができます。

これは南海トラフ地震のときに、長周期地震動により、名古屋市のビルの30階部分がどのように揺れるかを再現したもの。

言葉を失うほど恐ろしい映像です。

熊本地震では、木造家屋の1階と2階がどれだけ揺れの激しさが違うかも映像で教えてくれます。

ぜひ一度体験してみてください。

その他1階には、東日本大震災の災害遺構も展示されていました。

名古屋大学減災館、すべて無料ですから、ぜひギャラリートークのスケジュールも事前にHPで確認した上で訪れてみてください。

令和元年12月

弁護士 永野 海

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