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浮島(ふとう)海岸にみられる火山の根(西伊豆町)

西伊豆町仁科にある浮島(ふとう)海岸には、大小の奇岩がそびえたっています。

 

これらは、その1つ1つが、かつての海底火山のマグマの通り道の痕跡です。

 

海底火山の地下深くにあるマグマだまりから、マグマが上昇する際の通り道を「火道(かどう)」といいます。

写真の岩は、当時、火道を埋めていたマグマがそのまま冷えて固まった岩脈の姿です。

 

この岩をみて、当時の海底火山の内部の姿を想像できますか?

こうした海底火山はその後フィリピン海プレートに載って北上し、伊豆半島の一部として本州に衝突した際に、隆起し、地上に現れたものと考えられています。

 

地上に姿を現したのちに、海底火山の山体のほとんどが侵食により姿を消し、これらのマグマが冷えて固まった硬い岩脈の部分だけが残り、現在の姿に至っています。

 

束ねたアスパラガスの断面のような模様になっていますが、これは横倒しの柱状節理の断面です。

マグマが冷えて火道のなかで固まる際に、収縮して割れ目(節理)ができています。

 

典型的な柱状節理の形状である六角形に近い形の断面もありますね。

雰囲気としては、枕状溶岩にも近い形状です。

海底火山の溶岩やマグマが水のなかで冷えたときにどのような変化を生じるかは、マグマの温度や粘り気などさまざまな要素で決まってくるようです。

柱状節理を作ったり、枕状溶岩になったり、破砕されて水冷破砕岩になったり。

 

西伊豆は、日本を代表する夕日の名所ですが、日本を代表する海底火山の痕跡の名所でもあります。

令和元年12月

弁護士 永野 海

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