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津波災害からの復興(1)

何回かに分けて津波災害からの復興について考えます。

私が今年復興状況を目にした場所の中で象徴的な例でいえば、

・女川は復興のトップランナーと呼ばれます(疑義を唱える地元の声があることはひとまず置きます)

・陸前高田は復興が遅れているといわれます

実際、女川の町を歩いてみると、

 

「ミニ軽井沢のよう」

これが第一印象です。

(後から知ると、星のや軽井沢を設計した建築士による設計とのこと。そりゃ軽井沢を感じるわけです)

そのときのブログはこちら⇒http://naganokai.com/onagawa/

 

同時に高台の町もかなり整備されており、客観的にいって、誰がみても、「復興が進んでいる」と感じると思います。

他方の陸前高田。

 

ようやく町らしい複合施設の第一歩として「アバッセたかた」がオープンしましたが、その周囲はまだまだかさ上げ工事の真っ最中。

 

旧の市街地付近の町全体は、茶色い土景色一色です。

ひっきりなしにダンプカーを走り、ショベルカーが土を盛り、土埃が舞う町。

 

この違いが生じている理由は無数にあると思いますが、いくつか挙げると。

 

・人口規模の違い

女川はもともと1万人規模、陸前高田は2.4万人規模。津波リスクを踏まえ高台に移転するという判断を行政がした場合、人口が多いほどたくさんの適した高台が必要になります。それが簡単に用意できないと造成に費用も時間もかかります。

・産業の違い

女川には豊かな水産業がありますが、陸前高田はこれといった主要産業はなく、あえていえばコンパクトな町としての商業の町。水産業は(極論をいえば)海さえあれば復興に着手できますが、商業の町では、市街地のかさ上げ工事(造成工事)が終わらない限り復興に着手できません(その一歩がアバッセたかたですね)

・資金の違い

女川には原発がありますので他の自治体にはない資金源がありました

・地形的な違い

復興をする上で、人が住む高台をどれだけ容易に確保できるか、低地のレベルはどの程度か、低地がどの程度の規模広がっているか。これらが復興に要する費用と時間を大きく左右します。

 

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平成30年12月

弁護士 永野 海

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