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富士山の不思議 玄武岩質の溶岩を噴出し続ける理由

富士山は、誕生から現在まで、10万年もの間、(主として)玄武岩質の溶岩を噴出し続けています。

日本の火山は、桜島にせよ、雲仙岳にせよ、洞爺湖にせよ、安山岩(デイサイトを含む)を噴出するのが主流で、富士山のようにひたすらに玄武岩だけを噴出する例は稀です。

(富士山から流れてきた玄武岩質の黒っぽい溶岩)

玄武岩も安山岩もいずれもマグマが急速に冷やされてできた「火山岩」ですが、シリカ(二酸化ケイ素)の含有量に違いがあります。玄武岩は含有量が少なく、黒っぽい色をしています。

以下、素人の戯れ言の類ですが、富士山がこの10万年続く噴火の中で、ほとんどずっと海のプレートの主成分である玄武岩を噴出し続けている理由を考えてました。

日本列島は地球上にある4枚のプレートが重なる場所にあるかなり特異な地形です。

そのため、プレートの動きが原因となる地震や噴火の災害が頻発します。

日本列島は、北米プレートとユーラシアプレートという2つの陸のプレートの上にのっていますが、その陸のプレートの下に太平洋プレートとフィリピン海プレートという2枚の海洋のプレートが沈み込んでいます。

太平洋プレートは、太平洋の遥か東の海中で日々誕生し、西側に移動してきています。

海嶺というマグマが噴出する地球の裂け目のようなところがあり、そこからマグマが上がってきては海水により冷やされ玄武岩質の地殻となり、これがプレートの下にあるマントルの対流の流れに乗って移動しているのです(*最近は、マントルの対流よりは、シンプルに、海嶺という山脈からプレートという重いものが重力で降りてくるときの力や、プレートがマントルに最後落ちていくときの力などでプレートが運ばれているという考え方が主流でしょうか)。

いずれの説明にせよ、日々製造されたプレートがベルトコンベアに乗って運ばれる姿に喩えられます。

さて、太平洋のはるか東で生成される玄武岩からなる海のプレートは、陸の多くを占める花崗岩より密度が高く重いです。また、海をプレート移動していく中で海水により冷やされどんどん重くなり、またプレート自体が長年の年月(中央海嶺から日本列島までベルトコンベアーのように運ばれるのに1億年ぐらいかかります)の中で海水も含みさらに重くなります。

このように海のプレートは、陸のプレート(平均的には安山岩や閃緑岩)に比べて相対的に重いので、海のプレートは陸のプレートの下に潜り込みます。そこに海溝が生まれ、地震の原因となるのです(東日本大震災を起こした東北地方太平洋沖地震もも南海トラフ地震も同じ)。

海のプレートが陸のプレートに潜り込んだとき、潜り込んだ海のプレートが地下100kmや120kmほどに達すると地下深くの高温・高圧にさらされます。

これにより、海のプレートの中の海水が絞り出され、それにより岩石が溶ける融点が下がることによりマントルの岩石を溶かしマグマとなり、そのマグマが上昇し火山活動が生じます。

そのためプレートが地下100kmに潜り込んだ場所の真上付近に火山が多くできることになり、こうして一列にできた火山の列を火山フロントといいます。

日本の那須から北海道につながる火山(温泉ともいう)のラインは、太平洋プレートが陸の北米プレートに日本海溝から斜め下に沈み込み、その深さが100km程度に達したラインです。

上の地図でわかるように、東北地方の沖にある(東日本大震災を引き起こした)日本海溝のラインと、北海道から東北関東にかけての火山(温泉)のラインは平行です。

同様に、伊豆諸島の火山のラインは、太平洋プレートがフィリピン海プレートに潜り込んで生じるため、地図の伊豆・小笠原海溝に沿ってその左側に火山フロントが生じています。

なお、こうした海のプレート同士では、海のプレートが誕生してから海を移動してきている年月が長いほどプレートが重くなっていくため、古いプレートが新しいプレートの下に潜り込むことになります。ここでは、太平洋プレートが太平洋の東端で誕生してから日本列島にくるまで一億年ぐらいかかっているので、より重く、フィリピン海プレートの下に沈みこんでいます。

さて、富士山。富士山の噴火のメカニズムはよくわかっていないようです。富士山の下にどのプレートがあるのか、あるいはないのかも含めて謎が多いのです。

しかし、日本列島付近にあるフィリピン海プレートは生まれてからまだ若い海のプレート。そのために沈み込む際にも、その軽さのために、沈み込み角度が緩やかになっています。

(大鹿村にある中央構造線の安康露頭)

たとえば中央構造線で有名な大鹿村の直下あたりでも、地下30kmあたりのところにフィリピン海プレートがあります。沈み込み角度が浅いのです。

(大鹿村にある鹿塩温泉)

大鹿村の鹿塩温泉はこのフィリピン海プレートが含んだ海水の成分が地上に上がってきている温泉なのでしょっぱいのです!

フィリピン海プレートの沈み込みの先端はまだ日本海あたりです。太平洋プレートとは大きな違いです。

フィリピン海プレートが富士山の下にも沈み込んでいると考えた場合、その深さは浅く、大鹿村のように地下30kmには達していないだろうと思います。

しかし、フィリピン海プレートというのは、伊豆半島の周辺では不思議な動きをしています。

つまり、静岡がある駿河湾より西側では北西方向に、ユーラシアプレートの下に沈み込んでいる(これが南海トラフ地震を引き起こします)一方で、神奈川県の相模湾では、北東方向に沈み込み、首都圏方向に沈み込んでいます(これが関東大震災を発生させる関東地震を引き起こします(ただし諸説あり))。

つまり、伊豆半島付近の西と東で、フィリピン海プレートの沈み込む方向が逆になっているのです。

とすると、ひょっとすると、フィリピン海プレートは伊豆半島あたりで2つに裂けているのかもしれません。裂けるチーズのように。。。。

2つに裂けているとすると、伊豆半島の上にある富士山直下あたりだと、フィリピン海プレートは実は存在していないのかもしれません。

富士山がフィリピン海プレートのちょうど割れ目(裂け目)の真上にあるということで。

そうなるとどうでしょう。

富士山が噴火する理由は、太平洋プレートが富士山の地下100kmとか120kmのところに潜り込んでいるからだとすると(富士山も太平洋プレートの火山フロントの一部)、その上にフィリピン海プレートがない状態。

玄武岩質のマグマと安山岩やデイサイトのマグマの違いは、二酸化ケイ素の割合の違いです(後者のほうが割合が高い)。

二酸化ケイ素が高い火成岩がどういうときにできるかというと、結晶分化作用とかそういう話もありますが、大きな話としては、既にある玄武岩や安山岩質の岩石がマグマになるとより二酸化ケイ素の割合の高い岩石になる元ができます。

たとえば普通の安山岩やデイサイトのマグマをだす火山というのは、マントルのかんらん岩が溶けてできたマグマがそのまま昇ってきているのではなく、そうしてできたマグマがその上にある玄武岩質や安山岩質の地殻を溶かして、二酸化ケイ素の割合が高いマグマになってから火山噴火で噴出しているのではないでしょうか。

他方で、富士山の場合には、太平洋プレートの沈み込みによってマントルのかんらん岩を溶かし、マグマができるものの、その上に本来ならあるはずのフィリピン海プレートという玄武岩質の海洋地殻が存在しないため、それをさらに溶かしてという過程がなくなって、邪魔されるものなく、マントルでできたマグマがそのまま地上まですーーーっと上がってくるのではないでしょうか。

もちろん、それなら、東北や北海道の下にだってフィリピン海プレートはないのにこれらの地域の火山は安山岩やデイサイトの溶岩を作るではないかという反論が聞こえてきます。

そこでもう1つ浮かび上がるのは、フォッサマグナの存在です。

富士山は、西南日本と東北日本を分ける糸魚川静岡構造線の東側にあり、いわゆるフォッサマグナの上にあります。

本来であれば、大陸の分厚い地殻が下にあると、それらの地殻をマグマが溶かし出す中で結晶分化作用が働いて、安山岩質やデイサイト、流紋岩質の溶岩になるところ、フォッサマグナ(大地溝帯)のために、富士山直下にはそうした分厚い大陸地殻がないためん、これまた下から上がってくるマントルを溶かしたマグマがすーーっと地上まで上ってこれるのではないか。

そのために、最初にできた玄武岩質のマグマのまま富士山の火口から噴出していくのではないか。

伊豆諸島の三宅島や三原山が玄武岩質の溶岩をだすのも、下に大陸地殻がないからですよね(きっと)。

そんな戯れ言を少し考えてみたのでした。

静岡市清水区 弁護士 永野 海

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