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新冠泥火山 ぶらり防災の旅

JR日高本線に沿った日高地方太平洋沿岸部の幹線道路を走っていると,陸側にこのような小さな丘がみえてきます。

 

場所はこのあたり。

サラブレッドの産地で有名な新冠(にいかっぷ)町です。

 

これは実は泥火山(でいかざん)。

火山と書きますがいわゆる火山ではありません。

泥を噴出します。

 

完全には解明されていない泥火山の原理ですが,地下のメタンガスなどの影響で,地中の堆積層などに大きな圧力がかかっている場合に,

何らかのきっかけで高圧層に裂けめが生じたりすると,そこから泥が噴出します。

世界的にみると,日本のようなプレート沈み込み帯などでよくみられる現象です。

 

この新冠町の泥火山も,実はいまでも周辺で十勝沖地震などの大きな地震が起こるたびにそれがトリガーとなり,泥の噴出を続けています。

幸い,この新冠町では定期的な泥火山の噴出により大きな人的被害はでていませんが,インドネシアの泥火山などでは,近年でも,泥の噴出により,二桁の死者が生じ,数万人単位で住居を失う災害が発生しています。

数十mも泥が堆積している場所もあるようです。

 

インドネシアも日本と同じプレートの沈み込み帯です。

スマトラ島沖地震はあまりに衝撃的でした。火山の噴火災害が多いのも日本と同じです。

 

インドネシアの島に沿って,日本と全く同じような気味の悪い「海溝のライン」がみえますね。

これがプレートの衝突,あるいは沈み込み帯です。

プレートの重なりによりこうした深いライン(海溝)が刻み込まれるのです。

あのスマトラ島沖地震の大津波もインドネシアの火山活動もプレートの沈み込みによるものです。

日本と全く同じ原理です。

グーグルアースなどで世界地図でみても,こうした気味の悪い深い溝と同居している地域は,日本,インドネシア,チリあたりが突出しています。

 

さて,泥火山に戻ります。

新冠町の泥火山は私有地の牧草地内にあるので一般人が立ち入ることができないのが残念ですね。

地中のことは,泥が噴出する程度のことでも,まだまだわかっていないことだらけだということを再認識する新冠泥火山でした。

 

そういえば,この新冠泥火山を見学したあと,すぐ近くの日高自動車の終点,平成30年4月に開通したばかりの日高厚賀インターチェンジ(日高町)付近で,津波浸水予想地域の看板をみました。

 

(写真は静岡新聞記事から引用)

わが町,静岡市では,住民からの要望により,あろうことか静岡市が津波浸水想定区域の看板を撤去するという非常に残念な,非常に恥ずかしいできごとがあったばかりでしたから,思わず車を停め写真を撮影しました。

 

この日高町の津波看板の場所からは全く海がみえません。

実際走ってみてもこの看板から海岸まではかなりの距離がありました。

そのため,この津波看板は私のような外部からの旅行者にとっては,地震時にこの場所の津波リスクを教えてくれる唯一の情報源であることを改めて実感したのです。

これ以外にも,さすがに山地や海岸段丘と海との間のわずかな平地にたくさんの人が住んでいるこの地域では,たくさんの場所で,津波からの避難ルートがとてもわかりやすく表示されていました。

改めて,静岡市がいまどこに向かおうとしているか,遠い北海道の地で不安になったのでした。

平成30年5月

静岡市清水区 弁護士 永野 海

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