安平町が全戸訪問を開始

みえ防災市民会議の高橋昌子さんが、北海道安平町でボランティア活動をされています。

現地から詳しいご報告をいただきました。

安平町は、震度6強、今日9月16日から本格的な住家被害認定ということなのでこれから増えるでしょうが、今日時点で全壊家屋27棟(北海道調べ)、いまも100名近くが避難所生活をしています。

そして、安平町は、この早い時期に、町民の全戸訪問調査を開始しました。

 

ボランティアに委ねる英断

自治体の規模が小さかったり、被害が局所的だった場合には、被害の可能性がある世帯の全戸訪問は、首長さえやる気があれば十分可能です。

安平町は人口8000人規模、ボランティアの力を借りれば早い段階でできないことはありません。

今回、町が早い段階で、この全戸訪問をボランティアに委ねたことが英断です。

災害支援のプロフェッショナル高橋さんは、同じくボランティアで参加されている岡山の女性医師と二人ペアで、各戸を訪問されたとのこと。

基本、医療福祉の知見のある方とのペアという形のようです。

訪問対象には住戸だけでなく事業所も含まれます。

住民にとっては非常に心強いですね。

 

町がやるべきこととボランティアに委ねるべきこと

この峻別がとても大切です。

わかりやすい答えがあるわけではありません。その場その場の柔軟な判断力が求められます。

安平町は今日から住家被害認定が本格的に開始という段階のようですから、町の職員は被害認定に精力を注ぐべきです。

また全戸訪問以外に町として対応すべきことは山のようにあります。

ボランティアに土砂だしや掃除しか頼まない(頼めない)発想の自治体、ボラセンと、今回のボランティアの活用の発想には大きな差があります。

 

町の全戸訪問をする上での対応も秀逸

また、高橋さんからお聞きした限り、町(ボランティアセンター)が作成したマニュアルや調査票の内容も秀逸です。

被災者に寄り添うことの大切さについて具体的かつわかりやすく説明されており、また生活に不安を抱えている世帯をチェックできる調査票にもなっているようです。

実際には、住民として、初対面の人間に、お金の心配を語ること(聞き取ること)は容易ではありませんが、それが実際には難しくても、多くの困りごとの種を見落とさないようにしようとする姿勢が立派です。

 

今後の生活再建支援へ

全戸訪問、形だけでは無意味なのは言うまでもありません。

今回のボランティアの助力を受けての早い段階での調査(住民としては忘れられていないという安心感を得ることもできます)を受けて、その後は、町が責任をもって追跡調査をしていく必要があります。

近いうちに、安平町にも被災者生活再建支援法が適用されるでしょうから、国の支援金や自治体独自の支援金・制度、などの説明も不可欠です。

全壊世帯なら公費解体の可能性があるので情報の注視が必要ですし、応急修理制度について早い段階で正しく説明する必要があります。

 

特に応急修理制度の早期説明が大切

特に応急修理制度では、早期に正しく被災者に説明をしなければならない理由があります。

理由の1つ目は、応急修理制度は(法の建前として)、修理前に市に制度利用の申請をしなければならないこと(修理をしてからお金下さいは基本NG)

2つ目は、応急修理制度はわずか50万そこそこの支援しかないのに、これを使うと、その後仮設住宅に入居できなくなってしまうこと、です。

そのため、少なくともこの2つの「知識」は早期に被災者に知ってもらった上で、最善の支援制度の活用を考える必要があるのです。

修理で対応するのか解体して建て替えるのか。

応急修理制度を利用するのか、利用せず仮設に入居するのか。

 

安平町の今回の対応は多くの自治体が参考にすべきです

細かい問題はあるにせよ、早期に町が住民を全戸訪問し、住民を安心させ、住民の困りごとに対応し、住民の負担を軽減すること。

町が自分たちだけでできること、たとえば町独自の支援金の給付や、税金の減免などは、被災者からの申請を待たずに、職権でどんどん行っていくべきですし、現に、平成30年7月豪雨での岐阜県関市もそのような被災者ファーストの対応をしていました。

全戸訪問が次の支援の入り口になります。

そしてこれは(無条件に誰でもよいというわけにはいきませんが)十分にボランティアに委ねることができる分野です。

多くの町が参考にするとよいと思います。

平成30年9月16日

弁護士 永野 海