今回のテーマは、退職後の仕事を制限する誓約書の有効性の問題です。

http://www3.at-s.com/ten/html/zubari/vol19.html

Q. 私は、今月会社を退職しました。退職まで弁当宅配の業務を行っていたのですが、この業務経験を生かして、新たに自分で弁当宅配事業をはじめるか、あるいは当面、慣れている同じ弁当宅配の会社に再就職をしたいと思っています。しかし、退職時、会社から退職後に同じ市内で弁当宅配の事業をはじめたり、同じ市内の同業他社に就職しないとの誓約書を書かされました。このような誓約書は有効になってしまうのでしょうか。

A.
ご質問のような退職時の誓約書は、企業秘密やノウハウなどを守りたい会社の利益と、退職者の再就職の自由や営業の自由とがぶつかる難しい問題です。さらには、こうした誓約書は、特定の企業の独占集中にもつながるため、独占禁止法の観点も必要になります。
結論から言うと、過去の裁判例には、こうした競業禁止の誓約書を有効としたもの、無効としたものいずれも存在します。ポイントはいくつかあります。当該退職者は企業が守るべき高度な営業秘密やノウハウを本当に有しているのか、退職前の給与は高額か、十分な退職金をもらっているか、禁止期間が一定期間に制限されているか、禁止区域が制限されているか、などです。こうした各事情を総合的に判断して、行き過ぎた誓約として無効になるかどうかが決まります。
あなたの場合の細かな事情がわかりませんが、あなたが単に弁当宅配の会社で通常のスタッフとして勤務していたに過ぎず、特別な機密やノウハウも得ていない場合であれば、禁止の程度を問わず、そもそも競業を禁止すること自体が許されないという判断もあり得ます。そうでない場合でも、概ね2~3年が制約期間の限度になると考えてよいでしょう。同業他社への就職を禁止する地域についても無制限であることは許されず、せいぜい近隣地域での競業が禁止されるにとどまります。参考にしてください。