BLOG

  1. HOME
  2. ブログ
  3. コラム・執筆記事
  4. #1分揺れたら大津波

#1分揺れたら大津波

#1分揺れたら大津波

3月11日は、しつこく、「揺れの長さを津波避難のスイッチに」が常識になるように伝え続けます。

少し長いですが、理論面も含めて書きますのでご一読し、ぜひ家族の雑談でも、飲み会の雑学ネタでもなんでもよいので、伝えてください。

気象庁は、東日本大震災のマグニチュード(地震の規模)について、地震から3分後の14時49分に、M7.9と伝えました。実際のモーメントマグニチュード(後述)は、Mw9.0でした。

7.9と9.0では、地震の規模(エネルギー)が優に30倍以上違います。

気象庁は、事実と全く異なった地震の規模を発表してしまったことになります。

気象庁が同じ14時49分に、岩手県と福島県の津波予報を3m、宮城県の津波予報を6mと、実際よりものすごく「低く」発表してしまったのは、このマグニチュードの判断を間違ってしまった結果です。

なぜこんなことが生じてしまったのか、また、実はこの気象庁の発表の問題は、将来の巨大地震でも起こってしまうということを理解するためには、気象庁が行っているマグニチュードの計測(M)と、モーメントマグニチュード(Mw)の違いを正しく理解する必要があります。

気象庁のマグニチュードは、地震計にあらわれた地面の動きをもとに地震の規模を推計します。

要は、これだけ揺れたから(地震波の振れ幅が大きいから)これぐらいの規模の地震が起きたんだろうと想像する手法です。

しかし、この気象庁のマグニチュードで正しく測定できる地震の規模(マグニチュード)は、8.2程度まで、と言われています。

それ以上の地震が起きているかどうかは、地震計の動きだけではわからない、ということです。

だから、東日本大震災の直後、気象庁は、M7.9という数値しか推計できず、これをそのまま発表をしたわけです。実際の地震の規模は、その数十倍大きなものでした。

では、M8クラス以上の巨大、もしくは超巨大地震は、どうすれば正しく測定できるのでしょうか。

そのためにはモーメントマグニチュードという方法が必要になります。

モーメントマグニチュードというのは、その地震によってどれだけ地球の地面が壊れたかをもとに地震の規模を把握する方法です。

大きな地震ほど、たくさんの地面を壊す力があるので、地震によって破壊された地面の面積の大きさや、壊れ方がわかれば、そこから逆算することで地震の規模がわかります。

具体的には、地震によって壊れた(ずらされた)岩盤の面積、ずれた量、その岩盤の硬さをもとに計算することで、正しい地震の規模を推計することができます。

これをモーメントマグニチュードといいます。

このように書けば少し想像できるように、この計算には、時間がかかります。

東日本大震災では、南北約500km、東西約200kmの岩盤が破壊されました。

モーメントマグニチュード9.0の超巨大地震だから、これだけの地面を壊すことができたのです。

でも、これだけの面積の地面(岩盤)を壊すためには、3分以上の時間がかかります。

岩盤は一気には壊れず、次々に順番に壊れていくからです。

ということは、Mw9.0の地震の場合は、壊れ終わらない限り、壊れた岩盤の面積自体わからないので、地震後3分間は計算開始すらできない、ということになります。

東日本大震災でも、Mw9.0という正しい数字を気象庁が発表できたのは、震災から2日も経った3月13日でした。

(一度目の修正でM8.4という発表をしましたが、それすら地震発生から1時間14分後の午後4時でした。津波はとっくに到達していますね)

だから、マグニチュード8.2を超えるような、つまり、本当に津波のスイッチをいれないといけない地震のときには、気象庁のマグニチュードや津波予測を妄信するわけにはいかないということです。

科学的、技術的な理由により。

そこで、大切になるのが、地震の「揺れの長さ」です。地震の規模と、揺れの長さには相関があります。

これは当然のことで、前述のように、大きな地震ほど、たくさんの岩盤を壊します(それだけエネルギーが大きいからです)。

そして、地震の揺れというのは、地球の岩盤が壊れていることによって生じています。

だから、巨大な地震のエネルギーが、地球の岩盤を壊し続けている間中、わたしたちは揺れを感じることになるわけです。

そして、画像に引用した気象庁の情報のように、マグニチュード7では10秒揺れ、マグニチュード8では1分揺れ、マグニチュード9では3分揺れます。

マグニチュード9で3分揺れるのは、500kmの岩盤を壊し終わるには、3分間かかるからです。

そして、これは地震の揺れの「激しさ」とは関係がありません。

遠くでMw9.0の地震が起きれば、それほど揺れないこともあるし、近くで起きれば激しい揺れになります。

でも、どちらの場合にも、揺れの長さは平等です。

3分間です。

だから、わたしたちは、揺れの長さを数えることで、どれぐらいの規模の地震が起こっているのか、テレビやラジオをつけなくても、一応の判断をすることができます。(もちろんビルなど、その後惰性で揺れ続けることはあります)

そこで、1秒2秒と数えて、いつか将来、揺れが60秒も続く地震を体験したら、迷わずに、迷わずに、迷わずに、どこかでマグニチュード8の巨大地震が発生していると考え、津波避難のスイッチを入れてほしいのです。

特に静岡県のような場合は、地震のあと、数分、10数分で津波が到達する場所がたくさんあります。

テレビやラジオの情報を聞いてから判断する余裕はありません。

また、地震後数分間は揺れで動くことすらできません。

信じられるのは、自分が感じた揺れの長さです。

揺れの長さでスイッチを入れたら、迷わず安全な高い場所を目指しましょう。

そこが安全な場所なら動かないようにしましょう。

日ごろたくさんの時間を過ごす場所ぐらいは、逃げる場所、そこが安全な場所かどうかを、あらかじめ調べておきましょう。

https://disaportal.gsi.go.jp/maps/(重ねるハザードマップ)

3月11日、皆さんにとってなにか1つでも、学ぶ日になりますように。

画像出典)「みんなの津波避難22のルール 3つのSで生き残れ!」(合同出版)https://www.amazon.co.jp/dp/4772614559

関連記事