13064004_980429828715682_994792057_o

私のこのホームページでもご紹介しているとおり、静岡県弁護士会では、大規模災害の被災者に対しいち早く支援情報や災害時の日常生活に深くかかわる情報を届けるべく、これらをまとめた災害時Q&A集(静岡県弁護士会ニュース)を作成しています。

この災害時Q&A集が、発災後速やかに各避難所を中心に、すべての被災者の目にふれるよう、弁護士会では、各自治体と提携し、事前準備も行っています。静岡市などでは、すでに公民館、小中学校などすべての避難拠点施設に備え置かれています。静岡市のホームページにも掲載してくれています。

この災害時Q&A集は、東日本大震災のときに、岩手弁護士会が作成し、被災者に配布したことがはじまりです。

岩手弁護士会は、静岡よりもずっとずっと小さな規模の弁護士会ですが、この弁護士会が、発災後直ちに被災者が必要としている情報は何かを考え、力をあわせて問答集を作り、いちはやく被災者に届けたのです。

当時、弁護士が行う被災者支援といえば、

=法律相談

というのが一般的な認識でした。

しかし、この災害時Q&A集という新しいアイデアは、弁護士が被災者支援のためにできることがほかにもある、ことを示してくれました。

発災直後には、法律相談という需要はそれほど多くありません。

避難所で生活しているみなさんは、目の前のことに立ち向かうので精一杯。そして、家も失い、仕事も失い、お金も失い、平穏な生活も失い、最悪の場合、かけがえのない家族や友人を失い、絶望の淵にいます。

そこで求められるのは形式ばった法律相談ではなく、被災者の人たちに、ほんの少しでも将来の希望や安心を与える活動です。

家が損壊してもこんな支援制度がありますよ、住宅ローンの問題も大丈夫ですよ、緊急時の支援金もありますよ、免許証や権利証がなくなったって大丈夫なんですよ、通帳やカードがなくたってお金をおろすことはできるんですよ  ・・・etc

弁護士は、医者とは違い、直接的に、相談者の命を救う活動はできません。

しかし、絶望の淵にいる被災者の人たちに、いちはやく明日の生活の希望となるような情報を正しく伝えることで、救える命があると信じています。

実際、日々の弁護士業務の中で、力及ばず、債務の問題、家を失ってしまうという出来事などの中で、人生に絶望し、または不安や混乱に押しつぶされ、自ら命を絶ってしまったり、うつ病にり患してしまう相談者の方は少なからずおられます。

避難所に避難している多くの被災者の方は、絶望の中で、みな等しくそれと同様のリスクがあると考えています。

今回の熊本地震のように、10万人という規模の避難者が発生した場合、弁護士が被災者の人ひとりひとりと話をし、将来不安を解消する活動をすることは極めて難しいものがあります。

そんなときに災害時Q&A集が届けられれば、ほんの少しでも、絶望のなかに光をみてもらうことができるかもしれません。

今回の熊本地震に際し、大切な支援情報などが記された熊本県弁護士会ニュースがいちはやく広まっていることに、喜びを感じずにはいられません。

 

静岡市清水区 中央法律事務所

弁護士 永野 海